松岡宮のブログ

詩でうた作り

神楽音「Hear to Listen」体験記

◆神楽音(神楽坂)主催イベントの思い出

 
それはもう5年以上前のこと・・・
 
いや、もっと前か。
 
世田谷区等々力のAthorスタジオでこちらのアルバム(Limited Express 383)を作ってくれていたAthorHaermonicsレーベルの森さんが、ロングヘアを揺らしながら、言った・・・。
 
LimitedExpress383

LimitedExpress383

  • アーティスト:松岡宮
  • Candy Recorder
Amazon
(このアルバムは松岡宮の基礎知識にして松岡のすべて・・・まずは聴いてネ)
 
 
「今度、お店をやることになったんです。
カフェスペースとライブスペースが別れていて、音が素晴らしいお店になります。」
 
 
それが、神楽坂駅のそばにある、auショップ下、「神楽音」だった。
 
 
 
 
 
 
もともと神楽坂のまちは、ライブハウス「EXPLOSION」でしばしばライブをさせていただくなど、自分のライブ活動のルーツのような街である。
 
山手線の、ど真ん中、より、少しだけ、左上。
神社、花街、商店街・・・
兄が2留年した大学も近くにある・・・(←いらん情報)
 
素敵なライブハウスがいかにも似合う華やかな神楽坂。
イクラスすぎる「神楽音」で、おそれおおくも縁あって2度も主催イベントをさせていただいた。
 
まずはその主催を振り返ってみる。
 

◆2017年 ナイトケアかぐらね

(イラスト:佐野友美)

 

 

このとき、神楽音もオープンしたてだったように思う。

実際に観に行くと、あの大きなスクリーンの迫力がすごいと思った。「映像の時代なのだなぁ・・・」と、やっと自分も気がついた。

そして音もすばらしい迫力だった。

この日は、森社長に「イベントやってよ~」と言っていただき、ツイッターで出演者募集なども行いつつ、かぐらね第1回主催。

 

ほんのすこしだが、出演者には謝礼をお出しすることにした。

「出演依頼には謝礼を出そう」と・・・謝礼を固辞される方も多かったが、なんとなくそういう時代かなと思ったのだ。

 

巨大なスクリーンを活かそうということで、ウクレレ女子さんなどに無理やりお願いし、その方が無理して映像を作ってくれたのを思い出す。

 

映像のドキドキクラブさんが何かの御礼で松岡のMV動画を作ってくれたのだが、なんかあまりアイデアが浮かばなかったそうで、最終的には松岡のドアップを集めた、観るのが怖い動画になっていた・・・。

松岡は面白い人間といわれるがそれをあらためて面白くしようとすると面白くなくなるのかもしれない。

ドキドキさんにはお手数をおかけした。

 

それにしてもお客さんを呼ぶのは難しい。

「お客さんを(自分で無料券を出してまで)必ず呼ぶアクト」と「そうでないアクト」がいることに気づく。しかし自分だって偉そうには言えない。イベントのなかにはお客さんを呼ぶことをためらってしまうようなイベントもあり(例えば、内輪すぎるとか、狭すぎるとか、喫煙可能とか)、自分だっていつも必ずお客さんを呼べているわけではなかった。

良い舞台をすればいいとかそんな問題でもなく、営業努力が必要なのだが、自分に欠けているところである。

 

だからこそ、お客さんで来て下さった方には、感謝するばかり・・・ありがとうございました。

 

 

この頃はまだ有り、今はそれがもうすり減っている、精神のそんな部分があることに気づく。コロナ禍、「東京フリマ日記」の執筆、そして今年3回の「Hear to Listen」体験を経て、いま、変わった部分が自分にはある。

 

みずからを虚しくする、みずからを共鳴する筒にする、呼ぶ声に耳を澄ませる、そんな感覚。

 

◆2018年 Landscape Pictures

 

 

いまのところ、自分の最後の主催イベントとなった、Lanfscape Pictures(風景写真)。

 

このとき、「良いイベントとは何だろうか」と、すごく考えた。映像力のある神楽音でのイベントということで浮かんだ考えは「ライバルは映画」という考えであり、時間的に2時間が上限かなと思った。そこで、全部で2時間に収まるスケジュールを組んだ。VJも入れようと思い、ウン万円以上するVJソフトを買って、「その場その場で操作する映像」にも挑戦した・・・。 

 

このイベント直前に、このイベント共演者から誘われ、茨城の福祉施設でライブを行う仕事があった。とても楽しい経験で、そのとき共演したボリウッドダンスのグループがさすがは慰問という感じでわかりやすく良かったので、神楽音へのご出演をお願いし、快諾していただいた。

 

いつも集客が伸びない自分にしては、集客は悪くなかった。(ご来場の皆さま、ありがとうございました。)

のちに出演依頼くださる初対面の方も来て下さり、CDを買って下さった。うれしい。

歌舞伎町の動画をバックにしたボリウッドダンスが特に好評だった。

たぶん、わかりやすかったのだろう。

「作品を明るくしなさい。わかりやすくしなさい。」

プロの方のアドバイスは、いつもそうだったことを思い出す。

 

お客さんには本当に感謝感謝である。それでも主催は赤字になる。

いつもどおり1500円+1Orderにしたが、チャージについて、いろいろなことがあって、本当に悩んだ。

 

2010年代後半、「お金が無いです」という人に出会いすぎていた。

自分がチャージを取ってライブすることは世のためになっているんだろうか?とよく考えた。

 

そういえば、「(日頃とくにライブ活動をしていない)飲み屋のお姉ちゃん」を連れてきて歌わせる「歌姫イベント」の共演になりそうな時があった。

・・・松岡宮のライブよりその方の”ライブ”のほうが確かに楽しいよね・・・

そう思う自分もいた。

女性は若くて愛想がよく、何より初々しいことに価値がありそうだ。

では自分が社会のなかでどのように音楽を続けてゆけばいいのか。まだまだ努力が足りないのだと考え、T音楽院に通い音楽理論や楽器演奏、DTMを学び、機材のブラッシュアップを行い、なぜか英会話にまで手を出すコロナ禍の日々。

 

努力の向かう先は、どこなのか・・・。

 

そんなとき、神楽音の、このイベントに出会ったのだ。

 


 

新たなサウンドデザインへと理解を深めることが本トークセミナー『HEAR to LISTEN (“聞く“から“聴く“へ)』のテーマです。
 
独自のサウンドブランディング手法を用いてサウンドデザインを手掛ける株式会社エコーズブレス代表 日山 豪氏、アーティストとしての作品リリースに加え映画音楽・音響デザインにも携わる清水 宏一氏をファシリテーターとして迎え、これまでの実績から具体的な手法を読み解いていきます。
 
「音楽をつくる」から「音で関わる」へ。
 
サウンドデザイン領域の拡大をなぞる全3回のトークセミナー。
サウンドによる新たなデザイン領域について学んでみませんか?

 

(イベント案内文より一部抜粋)

 

 

「音と社会の接点を探る」「音で関わ

る」・・・

 

なんだかとても興味が沸いて、「ぽちっ」「ぽちっ」「ぽちっ」と3回シリーズすべてを申し込んだ。

 

そして、3回すべてを会場で聞いて、非常によき感銘を受けたので、ここに記録を残す。

 

・・・まえおきがながい。

 

◆1日目 6月8日 (水)

この日は、こちらの記事

https://ekiin.hatenablog.com/entry/2022/06/13/233533に書いたように、ディスクユニオン池袋店にご挨拶&POP描こうと行ったのだが、自分のCDを見つけられなくて、すごすごと池袋をあとにした日、であった。
 
池袋から、高田馬場経由で神楽坂へ向かう。
山手線に乗り込み、女性車掌の高らかな声と制服を背に高田馬場で下車し、東西線への階段を下る。
乗り換え通路はサウンドの海。
自分の中には東京の鉄道の音が住んでいる。
街のざわめきの反響が地下鉄の音へと変貌し、音の変化で場所の変化を知る。
その日、ストライプのシャツを着ていた自分は、メトロの車掌とシャツがおそろいだったので、ひそかに喜ぶ。
 
東西線はブルーの彗星。
久しぶりの神楽坂。
鞄のファスナーが閉まっていることを確かめ、勢いよく階段を上がる。
 
 
神楽坂の町はあまり変わってないが、総合施設ラカグをはじめ、凝ったサンドイッチのお店や「本格マーボー」(?)のお店など、こだわりを感じさせるお店が増えていた。
 
時間があれば、あちこちめぐりたいと思いつつ、なだらかな坂を下る。
 
それにしても、この街は、いつも人が多い。
 
 
 
少し腹ごしらえをしようと思い、ファミマで唐揚げを買い、路地に腰かけていただく・・・。
嬉しいことに、路地にベンチがあるのである。
 
唐揚げは美味しい、しかし全部は食べきれない・・・残った唐揚げ1個をどうしようか、このままカバンに入れるわけにいかないな・・・と思ったとき、そうだ、坂を下りたところに100均があったな、と思い出し、そのお店に向かい、ゴミ袋を買った。
 
ビニール袋があるとなぜか安心する。
 
安心しながら久しぶりの神楽音。
 
転ばないように慎重に階段を下りた。
 
第1夜は、映像作家のトークイベント。
ゲストは映像ディレクターのShuma Jan(bird and insect)さん。
 
 
このサイトの写真、それぞれの土地の息吹に満ちて素敵。

この日は、With BMWシリーズの話題と、映像にどのように音楽を付けるのかという話題だった。
 
基本的にトークイベントだったが、Shumaさんが手がけた実際のBMWイメージ映像も流れたのがうれしかった。
 
車に乗らない自分には関係なさそうなその映像は、しかしたしかに人々がこの国土で生きているという生々しい生活を感じさせるもので、単なるBMWの宣伝を超えた作品だった。
 
音楽が好きな自分には、映像も音楽の一部のように感じられた。映像にもテンポがあるのだと気づく。ダンスの映像や人の動きの映像がテンポよくつながれていたが、それは1カット2秒くらいだそうで、ああそれも計算しているのだな、映像切り替えのテンポ感はかなり早い段階で決めるのだな、ということが分かった。
 
Shumaさんは岡山と東京の2拠点生活をなさっているそうで、「日本のローカルには恐るべき風土がある。土地への畏敬の念、創造のきっかけは土地にある」という言葉が印象に残った。
 
「音楽家ならば自分の音がある、キック一発で自分を出すようなこだわりも必要」そんな言葉もあったと記録に残っている。
 
わたしは帰国子女のせいか、あるいは日本の風土になじみすぎているのか、自分のなかにもあるかもしれない日本らしい色や音が、まだわかっていない。自分の好きな、金属的なシャラシャラした音やTransを誘うメロディラインが、どうやら自分がジャカルタで習っていたバリダンスの音楽に関連しているような気がするのだが・・・しかし80年代の音で育った自分には、初期シンセサイザーの作り物っぽい音などが根幹にありそうな気もする。
 
自分のなかにあるはずの土着的な音、まだよくわからないが、それがあるかもしれない、という、気づき。
 
 
後半は、サウンドデザイナー日山豪さんによるプロダクトサウンドの実際ということで、「エレベーターのサウンドデザイン」の話題。
こちらはとても実践的だった。
エレベーターは飽和しているので、どこで差をつけるのか、音もありうるという提案はコロンブスの卵のようである。
そうだ、生活は小さな音のかけらにあふれていたのだ。大都会の中にある高層タワー、ビルのジャングルを垂直運動するエレベーターは、とてもさりげない歌声で、上にゆくか、下にゆくか知らないうちに導いてくれていたのだ。
 
それぞれのコードの音がもたらす印象や、倍音の有無、響き。小さな音にも手間をかけることの大事さを実感する。
 
「電車の音はあまり心地よさを突き詰めていない」という言葉に、電車の音の、警戒信号としての役割を思う。その、不快かもしれない音が、役目なのだ、駅員たちの・・・。
 
この日以降、自分のアルバイト先の某タワーのエレベーターの音に耳を澄ませるようになった。あのタワーのエレベーターは、つねに洋楽を流しているのだが、いつもならば気づかない到着時のポーンが耳に残った。
 

ポーン 

ポオン

エレベーターのサウンド

瞳を閉じても

わかるのよ

上に行きます

下に行きます

ポーン

ポオン

わかるのよ

その違い

 

 

 

「Hear to Listen」3回シリーズを貫くテーマは、「(音楽による)ブランディング」である。

・・・ブランディング、かあ・・・

あまりなじみのないその言葉を、はじめて認識した一夜となった。

 

 

・・・電車、発車しております。・・・危ないですから、ホームドアから離れて下さい。

はい。

駅員さん、あなたの声、よく、聴こえています。

 

 

◆2日目 7月6日(水)

 

夏の18時は、まだ明るい。

到着したのは、夕暮れ賑わう神楽坂。

 

どこかで腹ごしらえをしたいが、どこに行こうか・・・。

 
 
ぬる暑い曇り空のもと、高級スーパーKIMURAYAに向かい、クラッカーとランチパックとアイスコーヒーを購入。
 
それをまた路上でもぐもぐもぐもぐ・・・。
 
路上にベンチがあると、こういうときに助かる。
 
神楽坂の夏の夕暮れ、はつらつとした人々が行き交い、夏は夜、月のころはさらなり、これから起こる素敵なことを予感させ、木々の緑もあざやかに感じられた。
 
神楽坂には楽しい思い出ばかりなのだ。
そしてこれからも楽しい思い出を作ってゆくのだ。
 

 
この日は、「終わらない・ループしない」、自然で質の高い自動演奏システムAISOの話題であった。
公式サイトはこちら。
 
 
AISOは「小さな音のかけらをランダムで組み合わせる終わらない音楽」だが、AI作曲とは違い音のかけらは人の手により、選ばれ、考え抜かれ、製作されたものであり、自動演奏ではあるがギクシャクしていないとのこと。
 
確かに、店内に流れていたその小さな音は、どこかぬくもりがあり、邪魔にならない温かみのある音楽という感じがした。
 
開発については、こちらに詳しい。
 
この日は、音楽のあり方に関して印象に残る言葉が多かった。
例えば、「聞き流される」という音楽のありかたがあるということ。
音楽が主役ではなく、聞く人が主役であること。
歌詞のある歌だと情報量が多くなりすぎるということ。
無音と音楽の間にあるような少ない情報の音ができないかと、音を分解したりしたそうで、そのときふと「社会に溶け込んで役立つ音楽とは何だろうか?」という自分の問題意識とクロスしたように思った。
 
自分は今まで表現者として詩や音楽に思い入れを込め、作りこんできた。それも大事なことだったが、それはToo Muchだと思うことが増え、自分の作品でも他人の作品でも、主張しすぎない作品も必要なのではないかと思うようになっていた。
 
そのような考え方はすでに主流になっており、わたしがそれに気づくのが遅かったのだサブスクのヴァイラルなどを聴けばとっくに世の中はそうなっていたのに、やっと、やっと、気づいたのだった。
 
 

この日も「音によるブランディング」という言葉が出てきた。 「(売りたい)モノの説明だけでなく、それを売ることでどういう世界になるのか、を言語化すること」の大事さを教えていただいた。現状に流されるのではなく、この世界にそれを置くことの意味は?と問われたようで、はっと気づかされる。

 

自分も事務所を運営しているが、その事務所を運営することで何を実現したいのか、どんな世界を目指すのか、改めて考えてしまった・・・

 

・・・福祉じゃない、行政じゃない、詩人の心理師の事務所なのだ、自分の事務所は・・・名もなき言葉や詩を大事にしたいのだ、身を挺して多様性を担保したいのだ、そんな事務所でありたいのだ、そんなことをぼんやり考えていた。

 
立派なことをいうのは気が引ける、だけど、言語化しなくてはいけないこともあるのだ。
 
 
後半は、AISOの音を作る側の人として登壇していたHiroshi WatanabeさんのAISO演奏が聴けて、嬉しかった。神楽音は音響が最高なので、やっぱり少しは音楽も聴きたいのである。偶発性のなかで生まれたそれらの音たちは、どこか宇宙を感じさせた。
 
けっこう感動したので、終わったあと、Hiroshi Watanabeさんについ話しかけてしまった。歌は3分間のドラマと言われるが、そんな固定した枠で考えず、音の時間軸を伸ばし、 考えずに音楽をつくることは、自分がいままで考えていた音楽のあり方と異なっており、新鮮だった。
 
あまり考えずに、感性のままに作る。
それは簡単そうで、難しいこと。
それはマインドフルネスやミニマリストにも似ているあり方。
今の時代に必要とされるスキルなのかもしれない。つまり、「よき少なさ」を志向し、情報に溺れすぎないこと、軸は見失わないこと、ネガティブに身を置かないこと、身も心もスリムであること、考えないで感じること・・・余計な情報ではなく足元にある土地の声を聴くこと。
 
ああ、だから、東京と別の地域の2拠点生活は、そんなマインドを作るうえで大事なのだ・・・。
 
どこに居を構えるか、それも音楽に影響するのだ。
 
新しい発見に、脳内もざわざわ。
神社の灯り、コロナ禍でもにぎわう飲み屋。帰り道の神楽坂も、ざわざわ。
 
英語のリスニング勉強中ゆえ、英語の歌など聞きながら神楽坂を下るとき、英語を音素にわけて理解できればいいのに、と思った。そういう教授法もある(フォニックスという)らしい。Thの音やrの音、VやFの音を作るとき、日本語にはない唇の形を作る。そんな練習をしながら、神楽坂の音に耳を澄ませる。豊かな胸の谷間を見せながら客引きをする女性の声。
 
ビルの奥の階段でふたりのホスト?が横たわっており、かなり具合が悪そうな声。
大丈夫だっただろうか。
 
 

 

深い問いかけに満ちた夏の夜は、きっと夜明けまで続くだろう。
ABBAの「Summer Night City」を口ずさみながら、問いかけの反響を胸に、2日目、終了。
 
 
電車、まもなく、蒲田に、到着いたします・・・。
 
 

◆3日目 8月3日(水)

 
この日は本郷でアルバイトがあったため、本郷から神楽坂まで歩いて行くことにした。
そんなに近くは無い。途中、飯田橋ラムラのウェンディーズで「腹ごしらえ」したが、ここは本当に大当たりのお店だった。
 
電源もあり、パソコンを広げて仕事しやすかった。
 

 
懐かしく賑わう飯田橋のまち。
 
兄が2留年した大学がみえた(・・・余計な情報だ・・・)。
 

夏の夕暮れ、汗をかきながら、飯田橋から神楽様まで、ゆるやかな坂を登ってゆく。

少し早まった黄昏に、秋の到来を思う。

 

今月もまた、神楽坂に、音楽の話を、聞きに行く。

 

 

 

 
第3回のゲストは、佐賀からお越しの辻さんという方。
焼き物屋さんの6代目で、224porcelain という工房をやっておられるとのこと。
 
 
 
有田焼と比較して知名度の低い吉田焼を広めたいと活動をなさっているそうで・・・音楽家ではないゲストだ、ふむふむ。吉田焼を広めたいと思って、佐賀県嬉野の市街地にカフェをひらき、カフェで使った陶器をその場で買えるようなお店を作ったとのこと。広々として斬新な店舗の写真が素敵だった。
 
カフェで陶磁器を使ってコーヒーを飲み、その思い出ごと陶器を買えるのは素敵だろうなと思う。
 
わたしは福岡育ちにも関わらず人生で一度も佐賀県に行ったことが無い。
行ってみたい。
父は九州人、自分の中には九州のDNAもあるのだ。
西九州新幹線も出来たし・・・お、嬉野温泉という駅もある、ああ、行ってみたい。
 
 
吉田焼については、こちらのサイトに詳しい。
陶工の辻さんが、サウンドデザイナーの日山さんと出会い、「音の鳴る陶器を作った」というのが、この日の話題であった。  
 
「音の鳴るカップ」というアイデアがものすごく斬新というわけでもないが、それを実際に試行錯誤しつつ製作を繰り返し(この日の話では20個くらい製作なさったらしい)、音響分析、時間経過、EQ、周波数、など、小さな細かい部分にこだわる根気が、ああプロ同士の仕事なんだなぁと思った。
 
音づくりは最初から正解が得られるものではなく、製作と体験を繰り返し、試行錯誤の末に出会うものだ。
 
実際にいろいろ試行錯誤した成果である陶器も拝見でき、その音も鳴らすことができた。 
不器用な自分の指先で、こわごわとつまみあげ、
 
コロロン キリリン・・・
コロロン キリリン・・・
 
かわいい・・・
 
なんというか、日ごろDTMばかりやっている耳には「リアルな音」がこぼれてきた。

リアルな音なので、リアルなのは当たり前だが、陶器と陶器が織りなす繊細な音、コロロン、キリリン、という生音がとても気持ちよかった。
生きた陶器の音なのだ。


  
 
音の出るカップというのは、目の不自由な方にとって、「コップを置いた場所が分かりやすい」という使いやすさがあったそうで、言われてみればそうだなと感じた。目の不自由な方には、音は重要なのだろうと思う・・・。

「焼き物をハブに、いろんなことができる」という言葉もあり、「吉田皿屋ひかりぼし」というLEDキャンドル 4000個による光と音のイベントが、今年の10月12日~13日に開催されるようである。
 
きっと、その地域の風土を大事にした、お祭りなのだろう。
いつか佐賀にも行ってみたい。きっとその地域ならではの音楽があるのだろう。
旅情を覚えつつ、イベント終了。
 
・・・まもなく 矢口渡 です・・・。
 
わたしはまた神楽坂を飯田橋まで下り、地下鉄南北線東急線を使って地元の蒲田に戻る。
地下鉄の轟音のなかでBluetoothイヤホンで聴く洋楽。
ときおり混じる駅員のアナウンス。
これがわたしの今の音環境。
 
 
通り過ぎていったはずの音に耳を澄ませ、小さなかけらを拾いあげ・・・少しだけ英語も聴けるようになってきた・・・気がする。
 
やっぱり、音楽が、好きだ。
 
 
 

◆まとめ 

 
「音と社会をどうやってつなげてゆくか」というのがこの3回のテーマであった。
 
登壇された方が、今後の展望として、「神楽音でこんなことを言うのもなんだけど、それぞれの方がここを飛び出して、いろんな場所で音楽と社会とのかかわりを作って行けたらいいね」という話をしていた。
そのとき、ぱあっと世界が広がった気がした。
 
このイベント3回を体験して自分が思ったことは、平凡な結論である。自分の心身や足元から生まれてくる音や言葉を大事にし、そしてそれが社会でどのように受け止められるか、あるいは社会がどのような音を受け入れているのか、客観的な視点を持つことも大事ということだった。
 
「(音による)ブランディング」というのは・・・まだ、よくわかっていないのだが、ともかく、努力を重ねたうえで、みずからを虚しくして、初めて得られる境地があるのだろう。
 
草原、駅、街、河川敷。
みずからを虚しくする、みずからを共鳴する筒にする、呼ぶ声に耳を澄ませる、そんな感覚。
小さな音に耳を澄ませ、この身を共鳴させ続けよう、これからも、おなじように。
 
 
以上です。
すばらしいイベントを企画して下さった神楽音さん、ありがとうございました。
 
 

◆松岡宮からのお知らせ

 
1)ショート動画をやってみた
 
 

今更TikTokerにはなれないのですが、縦長動画の流行りにのってみたく・・・(?)Youtubeのショート動画にチャレンジしてみました。
 
 

www.youtube.com
 これ以外にも、「(使い慣れていないけれどおそらく多くの人が使っている)CakewalKというソフトで」「すばやく作る」「スマホGRANBEATで録る」などを自分に課しつつ、何本か動画を作りました・・・。恥ずかしくなって1本を残してあと消しちゃったけど・・・。

この試みのなかで、野原や公園、野外でDTMを行う練習をしました。いつでも、どこでも、曲作り、ライブ、できるように。駅前で草原で河川敷で、DTMを、行いました・・・いつも、ひとりで・・・。
 
自分が共鳴する音を、探してゆきたいです。
 
 

2)9月30日(金)

 

「流れみずさんと安全な花火の会」

 

 

ここに書くようなことでもないが・・・花火が余ってる方などいましたらご一緒にどうぞ。
 

3)ディスクユニオンの通販が復活
 
 
松岡のアルバム「Limited Express 383」の通販サイト、いろいろありましたが復活しました。
 
 
委託期間は短いのですが・・おそらくあと1か月ほど販売していただけるようです。
 
ぜんぜん売れておりません。
 
1枚でも売れたらいいなぁ。
 
 


4)「あなたのメガネになりたい」サブスク・リリース。

 
すぐれたソングライターである長沼ハピネスさんとの共作です。
 
松岡が詩をかき、長沼さんが曲をつけてくれて、アレンジが松岡、という・・・不思議な組み合わせ。
 
短く優しいサウンドの曲です。
 
シンプルなので、皆さんに歌ってもらえたらいいな。あまり松岡らしくないけど・・・いや、でも、隠しきれない松岡らしさ、あるかも・・・。
 
 
 

5)10月16日(日)夜間 高円寺「北中夜市」参加

 
 
「東京フリマ日記」にもたくさん出てきた、高円寺の「北中夜市」、参加します。
 
CD購入して下さった方に、「あなたの言葉に音を付けます」という試みを行おうと思っています。
 
このところ路上DTM/野DTMをずっと鍛えておりますがそれを発揮できる一夜となりそうです。
 
高円寺北中通り
死神みたいな白髪の松岡。
お気軽に話しかけてね。
 
 

6)11月20日(日)文学フリマ ブース出します。

 
 
こちらも久しぶりです。
 
文学フリマは、その場にいるだけで、文学や詩がますます好きになります。
 
ブースは事務所名で出しております。場所など決まりましたらお知らせします。
 
残り少ない、冊子版の「東京フリマ日記」、こちらで販売します。
お取り置きなどお早めに。
 
 
 
7)11月19日(土)デザインフェスタでLIVE
 
 
夕方になりますが、屋内パフォーマンスエリアで15分のライブを行うことになりました。
(ショーステージではなく小さめのほうです)。
CDの販促も兼ねて、「Limited Express 383」から4曲やります。
 
・・・翌日文学フリマなのに・・・体力、大丈夫かしら・・・。
 
でも、デザフェスはそこにいるだけでエネルギーもらえますね、楽しみです。
 
以上です。
 
芸術の秋!
楽しいことがいっぱいの秋になりそうです。
 
 
松岡の音源等はこちらからも購入できます。
どうぞよろしくお願いいたします。
 
 
 
 
記事はこれで終わりです。以下は投げ銭です。
この続きはcodocで購入