松岡宮のブログ

詩でうた作り

祝祭のシュクメルリ、その代償

これは、プリン。1個のプリン。

これは・・・2個の・・・プリンス?

 

・・・ごめん、わたしには無理だった。

 

(いつもそんなふうに謝っている気がする。)

友人との楽しい会食

素敵なお店の美味しいディナー、贅沢な一夜 

小さなボートにプリンの黄金を詰めて漕ぎ出した・・・が・・・無理だった。

 

「小食ぶる」という言葉を知った、わたしはそれなの?

確かにダイエットを気にしてあまり糖質を摂らないこの10年

そうそう、糖質制限では肉が神聖視される、だからわたしは肉が好き、モツが好き。お刺身も好き。

好き嫌いはない、モツとか スパイシーな食べ物とか好き。

 

・・・だけど今週の2度の会食でわたしはそれほど食べなかったと思うし

それでもわたしには無理だったのか(結論はわからない)

わたしはとても楽しかったし、お金を使うというのはとてもいいことだと分かった

そうなのだ、今まで自分がセーブしていたことを、 少し「ゆるし」てみたら

それはとても楽しいことだったし

飲み食いすれば 人格は丸くなった

パアパア プリン プリン プリン

「飲んでればいい人 ずっと酒を飲んでいればいいのに」と言われる

お金って不思議 たくさん使うと明るくなる

お金って不思議 食べ物が美味しくなる魔法

・・・しけたことをいうなよ。

・・・そう、ここは、日本一の歓楽街、歌舞伎町だから。

身が壊れるのはどんな音

ひとの不幸をスパイスに今日も肉食で痩せましょう!

 

 

バーニラ バーニラ 

新宿という場所が背中を押した

冷蔵庫のなかで古くなったバニラエッセンスがすべてを染め上げ

どうしたの先生たち、職員室はバニラの香り

そんなふうに瓶のなかの欲望がふと零されてなんともいえない腐臭を放つ

 

 

「ひとは生まれながらにみな平等な権利を持っているんだよ」

 

 

(ひとのことなど思いやっていたら身動きがとれないよ)

優しいひとがまたひとり消えた

 

・・・もうさ、歌舞伎町って場所はわけがわからないよ、奥さま、億さま、ごちゃまぜのようでそこには決まりがある、わたしには見えない決まりがある、同じものを、みていても、ある線引きがあって、あなたはそこから進んではいけない、あなたはとどまっていなければならない、できることなら空中浮遊、負けるくらいならはやく病気になりたかったんです、嘘、なんでもありません、ああ、体は重くてたまらないし、骨って、邪魔だな・・・。

 

鉄骨をくみ上げ工事中だった場所に新たなビルがそびえたつ

「美しい時代へ。」

それは、東急の歌舞伎町タワーだった。

 

 

・・・タワぁぁぁ、神さまぁぁぁ、もう、わけがわかりません、また、また、大きなスタチュー立ち並び、空を飛べよと背中押す、東急、東急は責任をとってはくれまいか?このカオスの、この、同じ身体のなかを貫く、矛盾したタテとホコのことを、欲望が生まれちゃう組織の起始部のことを・・・・地面を歩くのは体が重すぎて大変だし、星は見えてもニセモノだし、少し空が飛べるといいのになぁ、神さまぁぁぁ、咳が出なくても咳止め飲んでいいの?浮ついた環境で身を守るのは意外に大変なのです、創作やるひと、表現するひとならば、なおのこと、表現するたび身は削られ、芸術療法が無に帰すSNS、わたしには無理だった。漕ぎ出した舟は泥で、プリンを頬張りながら、沈んでいった・・・

 

お店、あった、ズラストブイチェ!

 

その日わたしが居たのは、ロシア・ウクライナジョージアグルジア)料理的だった。螺旋階段を下りれば別世界。いかにも高給そうなエレガントなお店で、乏しい財布が心配になったが、懐かしい雰囲気、自分が知っている日本という感じで、安心する。

 

(そういえばわたしは第2外国語がロシア語だった。駒場祭で「ミール」という名のお店を出した。)

 

 

ロシア・ウクライナジョージアグルジア)のお料理はそれぞれに混ざり合いこの新宿でひとつのお店を形成していた。大陸のお料理同士は喧嘩せずにうまいダシをもたらし、どこか酸味があって、しかも、馬のお肉に、イノシシのお肉。よだれが出ちゃう、今夜はごちそうだ。

 

いただいたお料理で印象に残ったのは「シュクメルリ」。

ジョージア料理だそうだ。

 

あたかも祝祭のような名前で、予備知識もなくテーブルに置かれたその料理の中には、鳥の足が「ボンっ」と入っていた。

 

ボンっ。

 

・・・なに、この、めでたそうな、姿・・・。

 

鳥の足(だけ)がミルキーな温泉に浸かり、食べられるのを待っている。

 

・・・美味しそうだな・・・と思う自分は、捕食者(プレデター)なのか、それともこの温泉のなかの骨なのか。食物連鎖のどのあたりにいるのか、肉食な自分はたぶん大きな罪を背負う。

 肉を食えば報いが来ること、この時は知らなかった。

 

シュクメルリの鳥の脚を2つに切ったら、すっと切れて驚いた。骨のないポイントがあったのだ。

 

 

骨を分解できる秘密。女性ホルモン。人間関係や社会生活をうまく営める人には秘密の技術があるのだろう。その時突然思い出した、自己破産をした親戚のこと。けっして不真面目な人ではなく商売を頑張っていたけれどうまくいかなかったそうだ。破産する人には真面目な人も多いのだ。

失敗しない人などいない。

弱みのない人もいない。

この年になって、思った以上に「できない」人が多いということも知った。

でも「できない」ことは許されないから、外見だけでもできるような形をしているだけで、中はとろとろ、骨は溶け、いたいけな身体はしゃぶりつくされる、大陸の豊かな味わいとともに、美味しいね、ごめんね、食べてしまって、鳥さんも、せっかく生まれてきたのにね、ダスビダーニャ。

 

 

なんて大きな一億の文字。右下の一期よりも一億のほうが伝えたいことなのだ・・・すぐに、すぐに、消えてしまうよ・・・ただの文字なのに、明朝体はときに精神に刻印を押す、1億の、お金の、「すごい!」、評価の言葉のスパイスかけられて、わたしもお鍋のなかにいるのだった、そう、もう、この骨は昭和の小さな建物、柔らかに錆びて、女性ホルモンも無いし、ぐにゃっと痛んでダメになってしまいそう・・・

 

会計を済ませて外に出れば空にそびえる東急歌舞伎町タワー!

 

 

地面に目をやれば、トー横広場。シートを敷いて酒盛りする若者のことをもう楽しい目で見られない。無私の優しさみたいなもの、思いやりが、この街のどこかに落ちてますように。

ごみと若者と観光客のあいだ、兵隊のように客引きのボードを持った容姿端麗が立ち並ぶ。

 

 

東京ではこんな星座を楽しめます、LEDの星がまたたく新宿歌舞伎町。

似てればいいでしょう?もっと輝かせることできるし。やっぱり美人は得をする、顔だけでいいから偽ろう、年収だって偽ろう、1億と10億はもう同じ数だから・・・東京の街はいつもそんなことを言っていたっけ、大事なのは大きいことではない、大きく見えることだと。

 

(掃除をする人こそ高給取りであるべきなのだ)

 

街を歩けば浮遊感。この風景のどこかに鎖を放つ鍵がある、幼稚園でなく保育園、福祉マターのピンクの温泉、開放感のただなかで、骨格とろけた自分は加齢臭など放ち、結果的にはダメだった。危なっかしいぞともう一人の自分が警告をするので財布とスマホをカバンの深いところに入れてにらみをきかせる。

 

歌舞伎町。今はこんなに賑やかだけど、そのうち人が消えてゆく、そんな予感がする。

 

壊れたままの蛍光灯を直さないままの隅っこのビルの脇をすり抜け、帰宅。

シュクメルリのかけらが靴に残っている。

まだ足は痛んでいない。

 

 

すぐに次の物語の幕はあがる。

友人に誘われ、行ったのは新国立美術館の「テート美術館展」。

これもまたギンギンギラギラの欲望の街、六本木の近くに新国立美術館はあった。ここ数年で東京メトロの制服が微妙に変化したことに気づいたが駅員の骨格はたくましいままだ。

 

(駅員はしっかりしていて、いいですね)

 

 

印象に残った絵。

英国の画家ダービーが描いた、ポンペイのヴェスヴィオ火山。

煙がボウボウと上がり、避難する人の姿もみえる。

 

 

わたしもポンペイに行ったことがある。

数年前のイタリア旅行、ナポリ経由でポンペイ遺跡に行ったとき、あまりの広さに感銘を受けた。噴火がなんとすさまじかったことかと、歴史的想像力を新たにしたのだが、この画家もそうであったらしい。いや、この画家のこだわりはものすごい。画家のなかで火山はいつも噴火している。

 

先生の火山は、ある日突然噴火する。

 

「このコーナーでは撮影は禁止となっております・・・禁止となっております・・・禁止となっております・・・」

 

こだまのように響く禁止の声の主は四面四角のスーツの女性

学芸員を「禁止器」にするのが国立のアート、ルールを拡声する「禁止器」というアートが飾られている新国立美術館・・・

 

(いや、ルールは大事です)

 

(そういえば警備員も骨組みのしっかりしたアートであった)

 

また、バチェラーの「ブリック・レーンのスペクトル2」も印象に残った。

さまざまなレクタングルのなかに色とりどりの蛍光灯が収められている。

長方形は健康的で、骨格が崩れかけているわたしには、とてもうらやましい。

 

 

・・・人間がこのようであったなら、世界は平和で争いもなく 人間と人間がうまく積み上げられ 互いに役立ち リスペクトしあえたであろう

だけどわたしは長方形ではなかった

人付き合いのマナーをしばしば破った液体であり、きれいごとの世界で生き抜けなかった気体だった

 

この展覧会で、光のまわりは影があることにあらためて気づいた

わたしの母校は桐蔭学園

桐のかげと書く桐蔭学園

 

誘ってくれた高校時代の友人と ツーショット・・・。

 

それからわたしは、踵の高い靴で友人の背中を追いかけながら、夜の宴会の場所へと向かった。

六本木は意外に人が少なく、人間の姿より光のほうが多いくらいだった。

影の地平からヒルズを見上げていると、ときおり車がクラクションを鳴らした

秋風が心地よい。

 

西麻布までかなり歩き、もう2人の友人と合流し、祝祭のシュクメルリ・・・

 

ああ、なんて楽しい夜!

 

 

そう、またシュクメルリをいただいたのだ。

 

 

中年女性が4名で骨のないシュクメルリをいただく。お肉はプリンと柔らかく崩れて、噛み切る必要もなかった。熱いのでフーフーと息を吹きかけながら、もちもちと、ちびちびと、いただいた。

わたしは付き合いだからと少しだけ飲んだ梅酒でさっそく酔ってしまい、すっかり大人しくなってしまった。骨がない、もうダメだ、沈没だ、骨がない。でもみんなの話を聞いているだけでとても楽しかった。

わたしの作品をすごく聴いてくれている友人がいて(ありがとう!)、サービスで「それはどこまでも深い大江戸線」お箸をドラムスティックにして披露した。その様子を友人がスマホで撮っていた。

 

高校時代、わたしが数学教師Sに気に入られ、わたしもSを気に入っていたという話題が出た。

「まっちゃんに、S先生のどこが好きか聴いたら、”おしりがプリンとしているところ”って言ったよ」

・・・そんなことを言った覚えはないが、わたしなら言いそうだ・・・。

別の友人が、S先生はスラックスのポケットに指を入れ、やたらとヒップを強調する姿勢を取っていたと大笑いした。また別の友人は女子部の卒業アルバムを全てデータ化してスマホに入れており、それを見せてもらったら意外に若いS先生の姿があった・・・

S先生、あの頃30代前半とかだったのですよね。女子高校生にとっては、おじさんだったけれど・・・。

 

数学の能力はあると褒めてくれて、ありがとう、S先生。

 

プリンは欲望のシンボル。

 

西麻布は人が少なかったが、近隣に住んでいる雰囲気のオシャレな常連さんたちで小さなお店はにぎわっていた。我々中年女性がS先生の思い出話など不毛なネタで騒いでしまったのではないかと反省するが、お店の方は感じがよく、また来てくださいと言ってくれた。

 

友達はいいものだと思い、もうなんだかそれ以上のものって無いかもしれないという気がした。ほとんど終電で帰ったわたしは、友人たちの次の約束を苦笑しながら眺めた・・・。

 

みんな、元気で、うれしいよ。

 

 

その2日後くらい、左足が腫れて痛むことに気づいた。外傷はない。

 

その痛みは少しずつ大きくなっていった。

 

 

けっこう歩いたせいかな、靴が合わないのか、外反母趾か・・・などと思いつつ、ネットで症状を調べたところ、ある病名に行き当たった。

 

 

それは意外な病名だったが、「・・・間違いない・・・」

と思った。

 

プリン、プリン、プリン。

 

そう、痛風

 

女性ホルモンの作用により、女性には起こりにくいと言われているが、女性ホルモンが少ないと、女性でも痛風になるらしい。わたしは閉経が早かった。もう女性ホルモンなど枯渇しているであろう・・・。

 

左足の親指あたりが痛み、お気に入りの踵の高い靴が履けないので、しばらく自宅生活を余儀なくされつつ、ヒョコヒョコと近所の内科に行ってみた。

医師も「痛風っぽいね」と言ったが、検査をしたところ、尿酸値についてはそれほど高くなかった。

 

結局、「症状としてはどうみても痛風だが、痛風とは確定できない」という結論になった。

痛み止めで痛みは軽減し、現在はほとんど痛みはない。

 

しかし・・・痛風疑い、か・・・。

その可能性はわたしをガッカリさせた。

 

(・・・病気になりたかったんじゃないの?)それは、若い頃の話ね・・・。

 

ひどいときは階段を下りるのも苦労した左足の痛みの中、自分の食生活、ことにこの「週に2回のシュクメルリ」を反省することとなった・・・(食べ過ぎやん・・・)。

 

・・・なんか別世界のように楽しい週だったね・・・

背後で花火が立ち上がり、火山の炎が空を染め上げる

祝祭のシュクメルリ!

君の欲望、解放しチャイナ・・・

はい!

もりもり食べて、欲望のまま、遊んで豪遊して眠れと誰かが言うので わたしは頑張ってお金をつかい、人と会い、弱いお酒を飲み、東京に住む楽しさをかみしめ、がんばって欲望のままに生きてみたのに・・・・

 

残ったものは「風が吹いても痛い足」だけだなんて・・・。

 

どんだけ貧乏性な器なのだ、わたしの肉体は。

 

女性ホルモン不足したわたしの身体は泥の船、骨組みは腐って溶けかけて、少しの荷物で沈んでゆく泥の船、豪華なディナーなど、もとよりわたしには無理だったのだ。

 

・・・・そう思いながらも、尿酸が高くなかったので、痛風ではない可能性もあるぞ。

 

そこで、以下のようなことを考えた。

 

・・・また、プリン体を含む食べ物をいっぱい食べて、足が痛むかどうか、実験してみようじゃないか!?

 

お肉にモツ、おさしみ、お酒!欲望の街・東京で 背中を押されて舞い上がり 楽しことに万札崩す、食欲の秋は、プリン、プリン。

 

祝祭のピストルが鳴り響き、紙テープのように咲くシュクメルリ

 

死に近い秋は、まだ、始まったばかり・・・。

 

これは・・・3プリン。

これは・・・よんプリン。

 

小さなボートにプリンの黄金を詰めて漕ぎ出して・・・次は大丈夫!

 

じぶんの不幸をスパイスに今日も肉食で痩せましょう!

 

 

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記事はこれで終わりです・・・・

しかし、年を取ると病気がちになりますね・・・。

 

松岡宮からのお知らせです。

 

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欲望といえばメロンブックスさんで松岡宮のCDをお取り扱いしてくださっております。「他の人はこんな商品もチェックしています」が祝祭にあふれ面白いので、ぜひ見てやってください。

 

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=1859970

 

 

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また、BandCampでも松岡の楽曲をほぼすべて試聴できます・・・

というかまさかの「スズメバチの敗北」リリースしました・・・。

 

miyamatsuoka.bandcamp.com

 

わたしの作品は面白いので、良かったら作品を聴いてみてください★

その人が作品を作っていることを知ることと、実際の作品を知るのはぜんぜん違うことで・・・前者と後者は違うことだというのを知ってもらえたらうれしいな。

 

色々な方が近寄ってくるのに、どうしてこんなにCDが売れないんだろう・・・って、いつも悲しくなります。

だけどいつだって創作意欲盛んなわたし。

PCで作品を作って、声を入れて、配信して、それがお仕事になったらいいなと思っておりました。

 

・・・それで、いろいろあって、この秋は複数の教育機関におけるオンライン講義・オンデマンド講義に追われています・・・

・・・YouTubeライブ配信して、チャットに返事して、動画作って、配信して、それでお金貰って・・・・

 

・・・ん、なんか、夢、叶ってる!?

 

あ、次回ライブはデザフェス11月12日(日)17時ごろです💛



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記事はこれで終わりです。

 

以下は投げ銭で、内容のあることは書いておりませんが・・・面白かったよという方がおられたら・・・。

 

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