松岡宮のブログ

詩でうた作り

日本画家・高田先生のアトリエ訪問

この記事は、多方面でご活躍中の日本画家・高田先生のアトリエに訪問して楽しかった記録である。

 

 

近年、ときどき参加させていただいている、原宿クロコダイルの「ウクレレエイド」。

 

ウクレレを中心に、ピアノ、ヴァイオリン、ギター、などなど・・・みんなとても上手なヴェテラン演奏者ばかり。プロ演奏家の方、楽器を教える立場の人も多いようである。

 

奇数月はウクレレ以外の人も参加できるということで、最初はおっかなびっくり・・・最近は自分ワールドを表現しつくして・・・

 

・・・なんといってもクロコダイルは最高の音響。爆音を出せる素晴らしいお店・・・ここで自分のオケを出し尽くさぬことには、もったいない!

 

音響のお兄さんも、優しくて、「今日は何やるの?」って言ってくれるのが社交辞令でも嬉しい。

コロナ前からの参加なので、もう足掛け5年以上、参加していることになる。

 

そして、森社長と製作したCD「Limited Express 383(Candy Recorder)」も販売させていただいている。このアルバムは、森社長と喧々諤々、アレンジしなおし、歌詞の書き直しも命じられたりしながら、プロのディレクションとレコーディングとミキシング、プロのアートワーク、本当に時間と手間をかけて等々力のスタジオで製作してくださった素晴らしいアルバムなのだ。

 

LimitedExpress383

LimitedExpress383

  • アーティスト:松岡宮
  • Candy Recorder
Amazon

 

・・・どんなに素晴らしくとも、無名のわたしのCDを聴いてくれる方は少ない。

 

だが、わたしのこのCDをまっさきに購入してくれたのが、日本画家の大家・高田先生であった。

 

そして、「僕のアトリエに遊びにおいでよ~」と言って下さった。

 

・・・ああ、有難うございます・・・でもわたし、画家でもないし、美術には疎いのでお話をきいてもチンプンカンプンなのでは・・・

 

と、最初は社交辞令かと思ったが、わりと自分の家から行きやすく、なじみのある場所にそのアトリエはあるそうで、少し気になっていた。その後わたしが、たまたま仕事場の近くでやっていた高田先生の「文京美術会展」を観にいったりすることで芸術作品に関する共通の話題が増え、次にクロコダイルで逢った時に、ふたたび「ほんとにアトリエにおいでよ!いつにする?」と言って下さったので、お伺いさせていただくことになった。

 

 

場所は都内の高級住宅地。先生はメールとかSNSはなさらないようで、携帯電話もしくはショートメッセージでやりとりの予定。待ち合わせは駅の改札。小さな駅のようで行き来する人が多い。車いすでエレベーターを待つ人もいた。約束の時間通りに先生はいらしてくださった。

 

地下の改札から、階段をよっこらしょと登る。国道246に出る。

 

三茶方面にテクテク歩き、そこから少し入ると、住宅や英会話カフェなどが見えた。品がよさそうな街。こんなところに住んでいたら便利だろうなぁと思いつつ坂を登る。家々の軒先に木々が茂り、細い道に車がゆっくり走るので身をひるがえす・・・危ない危ない、ここは都会。

 

 

 

白く素敵な建物があった。そこで先生が立ち止まられたので、ここがアトリエかな?と思ったら、それは高田先生の娘さんが運営しているダンス&ヨガスタジオ(?)とのことであった。一家でいくつもアトリエやスタジオをお持ちのようで、うらやましい。

その近隣にアトリエはあった。これもまた白い瀟洒な建物。1階はアパートで何部屋か貸しているとのこと。階段を上がって、ドアを開き、入らせていただく。

 

こんこん、ギー、っと 扉を開けると・・・

 

そのアトリエは、予想以上の広さ!

 

やはり白い色の家具が印象に残る。

画材や書類、トルソーやオブジェでいっぱいの広い部屋であった。カーテンの奥もちょっとした空間で、奥様も美術家で、生徒に教えたりすることもあるそうだ。とにかく、想像以上に広い。体育館のよう。

 

高田先生はパックのお茶を淹れてくれ、久しぶりに飲む緑茶がとても美味しかった。

それから時間が許す限り、いろいろな話をしてくれた。わたしは主に聞き役だったが、どのお話も自分の精神にすっとしみこむものであり、感銘を受けつつメモを取った。

 

そのお話のなかで、印象に残ったものをここに残す。

 

 

法隆寺の夢殿のスケッチを広げて見せて下さったこと。

実は、相続した串間の土地に、日出処の天子」に出てきた夢殿を立てたいなどと夢想したことがあった。

厩戸皇子が毛人を思って泣いていたあの小さな夢殿。

なんとなく、一人用の防音スタジオくらいかと思っていたが・・・高田先生の精緻なスケッチのおかげでそんなことはない意外に大きいとわかった。

 

その大きくて精密なスケッチは、絵画を仕上げるための下書きとのこと。

たくさんの下書き、資料、道具、そして手間。経験、知識、時間、時間。

 

・・・画家は一枚の絵を仕上げるのに、出向いてスケッチ、それを下書き、それをトレース、それから遠近が正しければいいというものでもないのでアレンジをして・・・などなど、実に手間をかけるのだとわかった。

 

・・・一枚の作品にとんでもない手間がかかっているのは、CDを製作する自分だって同じ。

自分も、焦らず丁寧に作品を作りこんでゆかねばいけないな・・・と改めて思わされた。

 

 

 

 

高田先生の墨絵の習作を見せて下さったときも同じようなことを感じた。

墨絵の線など、素人のわたしにはみんな同じ色にみえるが、先生によれば12種類の濃淡・色があるという。そして、いろいろな動物の毛で作られている筆たちも、どれを使うかによって、あるいは筆の使い方によって墨絵の線も変わるとのこと。描きたい要素に応じて使い分けるそうである。

プロならではの、技の使い分け。技術を身につけ、それを使い分けて描くということ。

描かれた習作のスズメや果物たちの、リアルな質感は、そんな技術に裏打ちされていたのだ。

 

完成品を作るには時間がかかっていいのだと、他人にその過程など見せなくてもいいのだと、励まされる思いがした。

 

 

お部屋にもちょこっとした美術家のアトリエらしさがふんだんにあった。

おっぱいのある、重たいトルソ。

ピエロみたいな、物悲しいドール。

金属のバケツをゴミ箱にしていたこと。

(それはいい、すばらしいアイデアだと思い、さっそく事務所で、実践・・・。)

 

それと、膠(にかわ)を見せて下さった。

茶色い液体!?何から出来ているのだっけ・・・説明もしてもらったけど・・・忘れてしまった・・・。絵の具を溶くのに使うのかな・・・。

この知識、講義で、神経膠細胞(グリア細胞)の説明をするのに役立ちそうである。

 

 

お手製の素晴らしいスピーカーで音楽を聞かせて下さったのは、とても感激だった。

ダイナミックスあたりに工夫のある、素晴らしいスピーカーで聴くクラシックオペラ「誰も寝てはならぬ」・・・わたしはやっぱり音が好き。

幸せな試聴の時間であった。

住宅地のなかなのに、結構大きな音で聴いていても文句が出ないのかなと、それも羨ましく思った。自分の事務所はさらなる密集住宅地なので、音に関しては逃げ腰であったが、自分が音楽をやる人間なのに音の設備投資をさほどしていなかったなと反省した。

 

自分の事務所に薄型スピーカーなどを壁に設置したいと夢想中である・・・・まだ実現してはいないが・・・

 

ともかく事務所の設備をケチってはいけないのだと学ばされた。

 

 

そうそう、照明も。

 

こういうの自分の事務所にも導入したいと、ずっと思っているのだが・・・がんばろう。

 

 

そして、クロコダイルのイベントのことについて、熱いトーク

 

こんなことを言われた。

 

「君のライブのやりかたを嫌っている人はいるよ、だけど、嫌われるってのは、それだけのことをしているからだ。何か表現したいものがあるのは伝わる」

 

褒めるつもりで言って下さったようだが・・・

わたしは

 

「えっ、あの素敵なイベント空間のなかに、わたしのライブが嫌いな人がいるのか(・_・)」

 

と、別方向に気になってしまった・・・しょんぼり。嫌いな方、すみません。

 

・・・嫌われているから、なんか、余計に、かばってくれているのかな・・・。

 

それと、あのイベントに関して、「君はもう中堅」と言われたことも、ずしっときた・・・

そうなのだ。もう5年くらい参加しているこの「ウクレレエイド」、イベントを開始された、亡くなられた浦上さんと、ギリギリ交流があるわたし・・・

浦上さんは本当に気さくでよいおじ様だった。海上自衛隊にいらしたというその背筋はぴんと伸びていた。

 

わたしは、「自分なんて楽器も出来ないし・・・」と深い人付き合いを避けてきたが、遠慮がちのようで、ただの臆病というか無責任だったのかもしれない。

自分の多忙もあり、毎回は参加できないものの、今となってはそのイベントに関して、他人のために盛り上げたり、イベントのためを思ったり、中堅ならば、そんなふうに尽くす気持ちも必要なのかもしれないな・・・と反省させられた。

 

高田先生が「君は吸収力が良い」とも褒めてくださった。

聞いてるふりをするのがうまいだけかもしれないが・・・長い間、表現や創作で生きている芸術家の方のお話はとても身にしみ入り、今日からまた自分を奮い立たせてくれる、そんなお話だった。

 

心理学の講義、講義、講義で、なかなか余裕のない日々であるが、学生さんたちと過ごす時間のなか、ふとした瞬間に表現者の自分が顔を出す・・・。

 

自分のなかにある、出てゆきたいものを、うまく出してゆきたいな・・・。

 

そんなことを思う、秋であった。

 

 

ギターも練習してます。

 

 

松岡宮からのお知らせです。

 

 

◆手作りフリマで唄作り

←雨っぽいナ・・・

 

2023年10月15日(日)

相模国分寺手づくりマーケット」@海老名 初参加。CD販売します。

またCD購入者にはその場で唄を作って差し上げます。

この回だけは、ビナウォークでなくJRの海老名駅の近くのららぽーと前で行うようです。厚木人だった自分にとっては故郷のような海老名。両親のお墓も近い・・・。

お近くの方はぜひ。

 

 

◆デザフェス@東京ビッグサイト

 

11月12日(日)17時から、屋内パフォーマンスステージで15分。

どうやらこの場所の最後の出演者のようです。

今日の記事に書いたように、わたしのライブはみんなに嫌われるライブなのかなぁ・・・と思ってしまいますが、やっぱりCDが売れるのもライブ会場なので、がんばります。

松岡に逢いたいという方は、ぜひライブにどうぞ・・・。

 

 

 

◆森社長とまたレコーディングするよ~

 

本文にも出てきた森社長とまたレコーディングします。

 

アルバム「~383」作るのに出会った頃はあんまり仲が良くなかったのに、今もこうして細く長く音楽制作で関わっているのがウソのよう。嬉しいです。

 

森社長も今日の記事の高田先生と同様、芸術表現のためにすんごい設備投資をして、本気でやっておられる方。

そんな方と一緒に仕事していただけるのは、うれしいですね。

 

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追記

 

ふと思ったのは、高田先生も、森社長も、芸術家であって、商業とは違うところを目指しているのだなということです。

世俗にまみれ強迫神経症なわたしはCDが売れないことを悲しくすまなく思っていますが(強迫症状)、森社長は、作ったらそれでいいんだよ~という感じで、ゴッホも生前売れなかったという話をしてくれたりしたな・・・。

そんな方々と交流できると、表現活動の本質を教えてもらっているようで、ほんとうに感謝です。

 

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さらなる追記

 

●サブスクで新曲「その嘘を信じることができたなら」リリースしました。

 

脳性麻痺の宮城永久子さんが書かれた、とても率直な詩に、わたしが音楽をつけました。

 

 

big-up.style

 

見た目にわかる重い障害がある方の言葉は重いですが・・・・なにか、伝わればいいなと思います。

障害があろうとなかろうと、仲間になれば、仲間なんだという気持ちです。

 

新作「脳に障害をおった私から大切なあなたへの7つのお願い」

 

Seven Wishes from a Person with Brain Injury(脳に障害をおった私から大切なあなたへの7つのお願い) - YouTube

 

こちらも障がい関連のポエムです。昔つくったもので、講演会で朗読すると、とても好評でした。

この世界が、脳が傷ついた方々にも、優しい世界でありますように・・・。

 

 

日本評論社「まちにとけこむ公認心理師」第7章執筆

 

10月末に出る以下の本の第7章を、仕事の名前にて執筆しました。

 

 

またそれについては詳しく書かせていただきますが、もとより資格を前提としていない自分の活動の愚かさゆえ、いろいろ苦しい執筆でした・・・

 

公認心理師」と「松岡宮」は両立してはいけないのか・・・とも思い、

松岡宮を葬り去るべきなのかと悩んでしまいました。

 

地域ってつらいのよ・・・なんてことも書いたりして。

とても個性のある本になっていると思います。