メトロ文学館で詩が入選

 

わたしが書いた「席をゆずる」という詩が、第39回メトロ文学館に入選しました。

 

「入選」は「優秀」の下の賞で、電車内には飾られないのですが、ポスターと賞金をいただきました。恐縮です。

 

全受賞作は、こちらでご覧いただだけます。(9月上旬まで)

 

2024年【第39回受賞作品】|メトロ文学館|公益財団法人メトロ文化財団

 

・・・わたしの作品、暗すぎ!

 

この詩は、締め切りまぎわにふと思いついて、あまり時間をかけずに書いたように思います。そういう作品のほうが伝わりやすいということはあるかもしれません。

 

 

メトロ文学館で賞をいただくのは3度目です。

賞をいただいた3つの詩のポスターを事務所に飾ってみました。

 

 

ちょうど事務所の納涼会があったのですが、来られた皆様が詩を丁寧に読んでくださって、うれしかった・・・みなさんに無理やり読ませたようですまなかったが・・・。

 

賞だけがすべてではありませんが、投稿はどうしたら読み手に伝わるか?ということを考える、よい機会です。

 

でも「伝わる」ことが詩の目的であってはならないと思うし、わからなさをあきらめず、わからないままに感じることを、あきらめないようにしたい・・・詩には、そんな包容力があるものです。

壁のよくわからない汚れに美を見出すような、生産性がないようで、それでいて大切な営みなのです。

 

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ついでに、詩の本のレビューを掲載します。

 

室生犀星「我が愛する詩人の伝記」。

日本の近(現)代を代表する11人の詩人に対する犀星さんの人間味あふれる筆致が本当に面白い本です。

 

 

扱われている詩人は、北原白秋高村光太郎萩原朔太郎釈迢空堀辰雄島崎藤村など錚々たる名前。

高村光太郎の生涯がそうであったように、明治から大正、昭和中期まで3時代の世相が感じられます。

 

解説によれば、犀星さんがこの連載を始めたときはすでに69歳。長く生きてきた人だけがもつ広い交流関係のなかでのエピソードや、その詩人に対する犀星さんの感情が文章のはしばしからほとばしり、愛情、友情、嫉妬心・・・そのおかげで類を見ない生き生きした伝記となっています。

 

本書の解説には、「高村と藤村の章には明らかに(敬意とともに)嫉妬がみられる」とあり、とくに高村の章は嫉妬心がストレートに描かれており面白いです。

 

例えば、犀星と近い世代の高村光太郎の詩が立派な詩誌「スバル」に掲載されること、その「印刷」はまだ印刷してもらっていない詩人を脅かし、犀星にとっても嫉みのもとだったと書いてあります。

 

聖女のようなイメージのある「智恵子抄」の智恵子さんを、かなりネガティブに書いていることも珍しいことです。犀星さんが高村光太郎の家に行った時に出会った智恵子さんの印象を、以下のように描いています。

 

いままで見た世間の女とはまるで異なった気取りと冷淡と、も一つくっ付けると不意のこの訪問者の風体容貌を瞬間に見破った動かない、バカにしている眼付きに私は出会ったのである。(後略)

ツメタイ澄んだ大きくない一重瞼の眼のいろが、(後略)

夫には忠実でほかの者にはくそくらえという眼付きで、やはり追い払われた

室生犀星「我が愛する詩人の伝記 高村光太郎」)

 

智恵子にとって私は一匹の昆虫にも値しなかったと嘆く犀星さん、よほど悔しかったのでしょうか・・・。

 

それはしかし、光太郎の詩からうける智恵子さんのイメージと、それほど遠くないという印象も受け、光太郎ひとすじだった智恵子と光太郎のカップルはやはり良いなあとあらためて感じるのでした・・・。

 

本書はこんなふうに、それぞれの詩人の容姿や顔貌の描写が豊富に出てきます。

例えば立原道造「色が白くクリクリした小気味の好い顔立ちの美青年」

堀辰雄俳優の子のような、女性的な美少年・・・

 

・・・腐女子か、犀星は??

 

男性が男性のルックスを評価するという営みが、近代の詩人においても存在したのか・・・と知りました。

 

釈迢空折口信夫)の章でも、愛弟子がみな眉目清秀の人たちであり、「釈は、わかい男の中にあるこちこちしたもの」に愛情を寄せていたのだろうと推察しています。

 

釈さんはメガネ・角刈りが好きで、若い男性の弟子に角刈りやメガネを強要したというエピソードも面白かったですが・・・パワハラじゃないですよね・・・きっと・・・。

 

漫画の「月に吠えらんねえ」にも「はるみくん」として登場する釈迢空の愛弟子の藤井春洋さんについて「眼は大きくいきいきとして、頬はあお白く色の変わらない、がっしりした体格を持っていた」とこれまた丁寧に美しく描いております。

 

この二人は、若い弟子のほうが先に亡くなっています。戦死です。

 

昭和一九年七月、春洋硫黄島着任直後、七月二十一日に迢空は藤井を養子として入籍したのである。十七年間にわたるいたいけな一文学博士折口信夫と、歌人藤井春洋の世にもまれな愛情生活がここで、おわりを告げた。

室生犀星「我が愛する詩人の伝記 釈迢空」)

 

戦争が引き裂いた師弟愛をみる思いです。

 

以上、ついついレビューが長くなってしまいましたが、要するにこの本は犀星さん自身も登場する同人本のようで、本当に面白いのです。

 

レビューおわります。

 

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詩は、いいものですね。息苦しい社会のなかにあいた、風穴のよう。

 

詩集という通常の経済活動では動かないものがもつ新たな流通の可能性について書いたのは、荒木優太さん「サークル有害論」でしたか・・・うろおぼえ。詩にはそんな包容力があるように思います。

 

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詩は、いいものだ~。