駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

おじいちゃんのお惣菜

f:id:miya_ma:20210113231547j:plain

二度目の緊急事態宣言で

20時以降 原則として出歩かないで下さいというおふれが

出た

 

飲食店をはじめとする商店街は死活問題

遅くまで働く人だって困ってしまうよね

だけど感染拡大しないためには人と人との交流を減らすことが大事だということも

わかる

いろいろな利害関係が・・・カン、カン、カン・・・短剣を持って戦う

コミュニケーション強者が勝つこの国も やっと 静かになってきた

 

必要最低限の買い物しか してはならない

必要最低限の会話しか してはならない

 

f:id:miya_ma:20210113231708j:plain

ふと 迷い込んだのは 名前の判らないささやかな商店街

駅のそばではない

あとで知った「宮元商店街」

人がまばら 店もまばら

どこか疎らな商店街

商店街らしく上空にはおざなりな灯りの単調な列が斜めにクロスして

この寂しい道を飾り付けている

星はここから少しだけしか見えない東京23区のはしくれ

だけど星より少ない通行人

しんと冷え込む19時の

魚屋さんはしっかりと黒いエプロンをつけているのに

通行人がいない

家もお店もあるというのに

人が いない

f:id:miya_ma:20210113234032j:plain

よく高円寺なんかでフリマをやっていたときのことを思い出す

多くのフリマは「プロお断り」なので

まさに 不要不急の買い物と

不要不急の 遊び半分の物売り

通行人と不思議な出会いが多かった

知り合いが遊びに来たり偶然通りがかったり

こっちが売ってるのに逆にセールスをされたり

異性に電話番号をきかれたり

高齢者もゆっくり 立ち止まる

遊び半分でものを売るわたしがそのへんの店先の地面に座ればそこにはきちんと花壇などの段差があって

ひとびとを休めてくれた

詩人の青条さんは場所代も払わずにわたしの敷物の上で詩集を売りにきた(←ええんやで)

外国人の増加を肌で感じた

派手なかっこうをした若者がたくさん歩いていた

やっぱりおばあちゃんたちに勢いがあった

 

あれから1年くらいがたち・・・

 

・・・ああ思い出した 高円寺のドネーションをしたのだった

 

景品を取りに行ったスタジオで「ドネーションするお気持ちが嬉しいんです★」

って 言われたっけ

 

数百円 数千円 いや あなたの商売が必要なんです、と伝えることが そんなに大事なことだなんて 知らなかった

 

冬からまた冬へ星は巡り

いま 赤いランプが灯る街

二度目の緊急事態宣言

 

さらに感染者数は増えつづけ新規陽性者は4桁となり

人が街に出歩かないことが解決策、だなんて、

こころがぽっきりと折れてはいないか

あの廃屋の窓にさしかかる枝のように

商売をするひとたちの心が ぽっきり折れてはいないか

いちどは耐えても まだなのか またなのか と 折れそうになってはいないか

 

23区の片隅の宮元商店街には わたししかいない

またしても冬 冷たい雨上がりの大田区

緊急事態宣言の街

あまりに通行人がいないので

わたしの影のほうが多いほどです

f:id:miya_ma:20210113232528j:plain

片隅に佇む 小さくておんぼろな豆腐屋さん

昭和の頃からやっているような店構え

誰もいない冷え切った商店街で

店先にならぶお惣菜たち

ふきの煮物 厚揚げ ひじきの煮物、かあ・・・

 

奥の方におじいさんがいる・・・

 

あっ 目が合った。

 

あっ こっちに来る・・・

 

豆腐屋のじーちゃん close to me!

 

f:id:miya_ma:20210113235635j:plain

 

・・・結局、あれこれ 買ってしまった。お惣菜。

あんまり お腹空いてなかったのにね。

なんか 買うだけで 少し 商店街が元気になったらいいな、とか 余計なことを考えてしまった・・・。

 

f:id:miya_ma:20210113235623j:plain

そういえばコインランドリーに行く途中でした。

洗濯ものを抱えながら お惣菜買ってしまったのでした。

わたしがやるような遊び半分のフリマと違って生業の出店たちがしんと並んだ夜の商店街で

23区の片隅からも見える赤い星が

じりじりと 点滅している

魚屋さんもまだ 灯りを付けて 外を見ている

 

必要最低限の買い物しか してはならない

必要最低限の会話しか してはならない

 

静かな街に洗濯物を廻す音だけがギュムギュムキューッと泣き言を言い出す

不要不急のフリマの道端で味わったあの雑踏の中にこそ 

生命の権化たる蝶々がふわふわまぎれていたような気がしてなりません。

そして生命はときに別の生命 ウィルスに取りつかれる

なんてこの世界は危険に満ち溢れているのでしょう

優秀な才能あるものが魔に取りつかれる

高齢者も 若者も みな・・・世界中のひとがみな 泣き言を言い出す

 

どうか 砲弾は やんでくれたら・・・

あなたも不要不急ではなく 必要な人間だと 言ってくれる人がいたなら・・・

 

大田区の夜もとっぷり暮れて

魔に取りつかれた人を誘い込み死に至らしめる 闇の多摩川という怪物が

街を覆いつくしていた

二度目の緊急事態宣言

ベランダからはオリオン座

どうか 何事もなくおやすみなさい

どうか おやすみなさい

 

 f:id:miya_ma:20210114001647j:plain