駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

運転席は僕の檻

f:id:miya_ma:20190526083934j:plain

短い列車の走る おだやかな街では

円環的な生活が営まれている

大丈夫です 何事もございませんでした 

そう この街に変化はないのです

子どものみなさま ご安心ください

何も変化は起きない街です

ただ 夕陽が朝陽になり 

終点が始発になるだけの

タマタマ線

くるりくるり

 

f:id:miya_ma:20190526084330j:plain

列車は自由な経路をもたない

ただ 決められたレールの上を

一級河川と並行して 北へ南へ 往復する

列車に乗るにも才能がいる

知らなかったんですか、列車に乗るにも才能がいる、鉄とガラスとプラスチック、ステンレスの剛体に囲まれ、架線から電力をいただく、そんな受け身な、才能、というもの・・・

さらには

列車を運転するにも才能がいる

みずからの腰に鎖をかけて 鎖のもう片方の端っこを運転席に結びつけ

みずからを檻に閉じ込める 才能が

夕陽差し込む前面ガラス

まぶしくてブラインドを半分さげてみた

そう

運転席は僕の檻

みずからの獣性にみずから鎖をかけて閉じ込めることができる才能

閉じ込められても仕事をこなすことのできる才能

あらしの前の一級河川の凪

脈打つ身体の突然の

静けさ

 

鎖がきらりと光って運転士の身体を離さない

 

f:id:miya_ma:20190526085019j:plain

お客様にご案内申し上げます

この路線 この駅 この街に変化はないのです 昭和の昔からこのままです

子どものみなさま ご安心ください 何も変化は起きない街です

うそだ

僕はこの夏 身長が4センチ伸びた

5月生まれの運転士はひとつ年を重ねた

火葬場は大忙し なのに

ご安心ください 何も変化は起きない街です

昨日はいつかの明日になって

目立たないように トコトコと 

円環的な日々をのんびりと走るタマタマ線

 

お客様 

お仕事帰りのお客様

吊皮を握るお客様も 鎖につながれる才能がある

 

f:id:miya_ma:20190526085546j:plain

 

 松岡宮のCD[Limited Express 383]好評発売中!

LimitedExpress383

LimitedExpress383