駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

夜のまくあけ

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夜のまくあけ



出会いは飛び石連休の 

木々が真っ赤に染まるころ

錆びた自転車乗っていた 

糸の目をした売れない役者

 

ネズミと一緒に住んでんだって 

あなたのアパート誘われて

畳の上で 芝居の稽古 

ネズミみたいな チューをした

 

夜のまくあけ 恋のまくあけ 

ネオンの灯り よれよれの服 

クリスマスでも 誕生日でも 

いつもわたしが おごってたっけ

 

夜のまくあけ まくは破れて 

第二幕目が いま始まった

飯田橋から神楽坂まで 

リリーの坂をのぼりのぼって

 

「自転車のブレーキ、きゅんきゅる ねえ これから どこいこうか

ねえ あなたとだったら どこでもいいって 答えたら

連れてゆかれたのは裏通りのラーメン屋 油だらけのラーメンに葱がびっしり乗ったラーメン わたしだけいつまでも食べきれない苦しさが 

しあわせだった」

 

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ぼろぼろ崩れる窓辺から 

まぶしい月が よく見えた

台本のカドで天井叩き 

あなたはねずみをからかった

 

次の舞台はノルマが多いと 

くにに電話をかけたとき

ふいにきこえた 北国なまりに

ねえ きゅーとした

 

夜のまくぎれ 雲はちぎれて 

雨が落ち葉を 叩く夜には

ひと組だけの 布団のなかで 

いつもわたしがなぐさめたっけ

 

夜のまくぎれ まくはちぎれて 

くにに帰るとあなたがいった

神楽坂から 飯田橋まで 

リリーの坂を下り下って

 

「自転車のブレーキ、きゅんきゅる

ねえ これから どこいこうか

ねえ あなたとだったら どこでもいい って

言えなかった」

 

「夜のねずみを食べつくす都会の猫たち ミノムシたちでいっぱいの並木道

あなたの好きなラーメンは わたし もう食べない

くるしい思いは もう したくはない から」

 

 

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