駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

晩秋のパワーショベル

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これは

京王本線から北の方を見た風景だろうか

もうすぐ聖蹟桜ヶ丘

寒々と蛇行する川の上に立つ陰茎の群れ

陰茎はアンテナのよう情報を伝達できるらしい

秋も深まる11月末

あの木も (この木も) 赤くなって(赤くなって)びっくり

京王電鉄の車掌の上着はさりげなく冬毛へとチェンジする

うさぎに車掌の服でも着せて冬支度をはじめる郊外列車

乗客も コートの前をしっかり閉めて

そろそろ下車 寒さ対策をしなくては

と 

その時 

突然来る咳 げへげへげへ・・・・

壁にはりついたスライムを除去しようと押し寄せる風

そのときガラスの向こうでは北風が吹いて多摩川の表面を押し寄せるさざ波

マスクの向こうの鳥の咳 猪の咳 止まらない咳 

・・・ああ みなさんごめんなさい

・・・ああ いま ぜんぜん げへげへ とまらない

・・・くるしい

咳をすればするほど

エチケット・マスクの奥で息は苦しく

えづく という語彙が増えてゆく

空腹の胃から嘔吐がはじまりそうになる

死ぬかと思った

ひとは

咳で死ねるんだ と 思った ・・・

 

不安なときは おかしくなる

心身相関 知覚に解釈

特に こんな 晩秋には・・・

おかしくなる

 

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クレーンだ・・・

いや パワーショベルか

ショベル・・・

微熱の坂道 靴底に冬の気配

秋ってなんて人恋しい

ショベルはうつむき溝を掘りおこす

 

あああああああ抱かれたい・・・

パワフルに!

パワーショベルに!!

  

・・・止まらない咳のなか

そんなことを 思いながら 坂道を踏みしめていた

げへ げへ げへ

声が出ないから叫びたくなる

おくちを開けたら土砂を浚ってくれる

のどの奥まで掘ってくれる

そんなショベルが心の友

秋も深まる山道で 側道の土砂や枝葉を さらっていた赤いショベル

長い腕は医業でも行っているかのように

妖しく動いている

げへ げへ 

また 咳が・・・

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ああああああ掘ってくれ!そのたくましい 長い腕に巻かれて・・・掘ってくれ!喉、こわれるほど!食道、こわれていい!血が出てもいい、もうしんでもいいや!ショベル好き、ショベル結婚、ショベル愛している、抱いて、くれ、この身を、上半身を、ぐっと抱き上げて空へと近づけて・・・放り投げてくれたら どんなにいいだろう・・・

その柔軟にくねる手先でわたしの身体のあちこちを掘り起こしてほしい

パワーショベルが恋人なんです、わたしに危害を加えるけれど悪意はないひとなんです・・・ああああ・・・・

 

やっと、呼吸。

寒さはすべての悪。

秋の寒さはこんなに体をおかしくさせる。

誰かのぬくもりにおぼれてしまいたくなる。

ひとの命は土壌とか路面よりも軽くて・・・

ショベル そうか

あなたはたくさんのにんげんをそうやって誘惑して壊してきたのだった

 

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抱いて下さるならモノレールでも、いい・・・。

モノレールはショベルと比較してあんまり陰茎感がない気もするのだが

もうこうなったら モノレールでもいい

陰茎などなくてもいいから

そっと 紅茶を飲むような 知的なデートをしてみたい・・・

 少しだけ 咳 とまった

  

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帰り道の駅で小田急の駅員に会いたい

微熱のホームでずっと立ちすくみ

黒い制服の駅員はいないものかと見つめたけれど

駅員らしき姿は見当たらなかった

しょうがないのでエスカレーターを下りて

くるり半回転

駅員室のほうに歩みを向けてみれば・・・

 

いた!

駅員!

だけど グレイだ・・・

 

すっかり忘れていた 制服の上着 変わったのね・・・

冬毛に変わっただけでなく 毛色まで変わってしまったのね

そう なぜ

袖の先っぽだけ ブラックなの?

ツートンカラーになってしまった小田急の制服・・・

なぜなの?

風景は生き物でありある日いっきに着替えてしまう

 

だけどそれはやっぱりあの日の小田急駅員でもあって

この駅を支配するという強い輝きに満ちている

お客様 何か 御用ですか?

冷たそうな笑顔でわたしのことを出迎えてくれた駅員は

駅に備え付けの備品であり絶対権力を持つ監視カメラである

陰茎は情報をやり取りするアンテナのようなもの

そうそう 駅員って有能すぎる柱みたいなものですね

げへげへ げへげへ

「そうか 君も駅員だったのか」

微熱の素手のまま

少し 駅名表示の柱にもたれて

列車を待ってみました