手袋をしなくても手首から先
白く染まった駅員たち
お下がりください、くるくるりん
朝のラッシュでは群舞するのです
東京、鉄道、紺色の白鳥たち
今日もわたしのレールに電車を走らせるのは見えない手袋たち
ガラス窓に映るのはたくさんの顔たちで
どれが自分の顔なのか
もう解らなくなる
駅員だけが駅員という名前を持ってどこか光り輝いている駅
先頭一号車 カバンを強くお引きください
この社会には収納されるための技術があると知る
わたしも頑張って収納されやすい形になりましょう
駅員が見えない手袋をその手の甲にまとっているように
わたしの中にも東京の鉄道の作法は入り込み
知らぬ人と身体を密着させることを要請される朝
駅員のネクタイがするりと風にほどけて
元気でな!
やけに元気な声をかけてくれまし
たが
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