駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

晩夏のねずみ

行ってきます

玄関を出たら 死にかけのねずみがいた

ビロードの被膜に包まれた長い尻尾の貴公子は

夜の秘密のはずだった

あらわにしてはならないものが 真昼に さらけ出される

それが晩夏という季節

弱ったけものに 金蝿が近づく

生まれてからずっと仲間と構築し続けた世界の秘密の糸がほどけて

この世界へと押し出された 

ねずみのしっぽに金蝿がたかる

ごちそうだ ごちそうだ

弱ったけものが守った秘密が世界じゅうに開かれてゆく

晩夏は 虫にあふれ

晩夏は 草にあふれ

生まれて 生まれて 生まれすぎちゃって・・・

ついつい生まれすぎたさまざまなものがあふれるのが晩夏という季節

見せなかったもの

隠していたもの

夕立の音に

露呈する

玄関を出たら ビロードに包まれた秘密をみた

死にかけのねずみを ビニール袋でつかもうとすると

びくっと震えて

伸びすぎた草の茂みに逃げ込んで

しずかに横たわった

もうそこから動くことはないだろう

金蝿も遅れずについてゆく

今夜はごちそうだと

金蝿が飛び交っている

夕立はすぐにあがり

街は夕餉の支度をはじめる

夏が終わる