駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

猫と過ごした15年

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うちに来たときは こんなに小さかった

なんとなく貰ってきてしまった チンチラシルバーの男の子

テスちゃんと名付けてから

それは 女 の 子 の 名 前 だと 

あとで 知った

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ちょっときつい顔

あんまり日本人ごのみの顔じゃないかな と 

もとの飼い主さんが言った

きりりんフェイスの美青年

モンプチよりも安い缶詰が好き

空腹だろうと嫌なものはイヤ!

甘えることを知らない我慢強い青年

幼いころから悩まされた目の手術のときは

動物病院のご飯をぜんぜん食べなくて

にんげんたちを 困らせた

きっつい眼差しを

思い出す

庭づくりの好きだった母が綺麗に咲かせたパンジーの上で

エリザベスカラーをまとって

なんだか えらそうな表情で

くつろいでいるね

しあわせだったでしょうか。

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わたしの年賀状のモデルになってもらったこともあった

この写真はその絵作りだったかな

お花に 光に・・・と 計算ばかりしても

ぜんぜん こちらの意図のとおりに 動いてくれなくて・・・

わたしはきっと なめていた

きっと みんな わかっていた

「俺を意のままにしようとしているだろう?俺は、そんなわけには、いかないぜ。」

きっと あなたは すべてを知っていた

散歩に出したら 近所の野良猫と喧嘩になり

テスちゃんパニック

失禁の嵐

あわてて抱っこしたら 

わたしが引っかかれて

しばらく右手が使えないほどの腫れ

俺 に 触 る な !

「俺は お前の 飼い猫じゃない」

そう言っていたのだ

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大学時代に わたしをドライブに連れて行ってくれた先輩がいた

彼氏とかでは なかった

ある日

両親が仕事で居ないまっぴるま

先輩はわたしを自宅に送り届けたあと

ほんの少しだけ この家に寄った

・・・おかえりなさいも言わないけれど ふたりを見ている奴がいる・・・

白くてふさふさした奴さ、ニャオン ニャオン・・・

・・・これはチンチラっていう種類の猫よ・・・

・・・ふーん、チンチラ、あぶない名前だな・・・

(・・・なんだよ、このタバコ臭い男は・・・・)

それは永遠に親の知らないこと

猫だけが 知っていること

・・・両親にもそんな秘密が あったのだろうか。

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猫も知っている

猫も気づいている

猫も感じている

猫も学んでいる

猫も加齢する

猫も老化する

猫も伝えている

猫も参加している

猫がこの世界にいて わたしはしあわせ。

猫も家族のひとり

猫も友人のひとり

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よくある話ではあるが

わたしが貰った猫だったのに

わたしが 駆 け 落 ち したせいで

その間の世話は 両親がこなしていた

綺麗に整えられた庭を見ながらテスちゃん

まるまる太って しあわせそうです

猫は いつも 助けてくれた

仲の悪い人間どうしの空気を つないでくれた

気まずい人間どうしの空気を つないでくれた

・・・いやあ 可愛い 猫ですね・・・

はじめて姉の彼氏が来た日の沈黙を救った

あなたがいなかったら ひとはこんなにつながらなかったでしょう

猫はいつでも人間を

その 何もしなさ で

たすけてくれている

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トイレにこびりつく尿と便・・・

父と猫とが暮らす家

昭和ひとけた まだ元気だけど 

炊事 洗濯 お掃除なんて したこともなさそうな父が

何の役にも立たない 手のかかる老猫と

ふたりきりで暮らすことになった

荒れた庭の土の上で

ゴロゴロ過ごすテス爺は しあわせそうにみえたが

時々 背中が かゆそうで・・・

・・・お おとうさん 何 この ダニの山は~!!

あっという間にダニだらけになって

動物病院に行ったものだった

廊下にこぼれるオシッコ拭いたり

肛門まわりのウンチを切ったり

ロマンスカーでわたしも通ったものでした

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猫にも腫瘍があることは知っていたが

自分ちの猫も腫瘍になるんだなと 思った

口のなかに腫瘍が出来ることも はじめて実感として知った

そして

腫瘍によって顔の骨が無くなることがあるのだと はじめて 知った

「・・・この状態で、痛くないはずはないです」

獣医さんが言った

でも

病院の檻の中で点滴を受けながら

いつもシレっとした顔をしていた

フンって顔でこちらを見ていた

「 何 し に 来たんだよ。」

痛そうな顔も

苦しそうな顔も

最後まで見せなかった

<猫は我慢強い動物です>と本に書いてあったのを思い出す

きりりんフェイスの美老人

痩せても枯れても 俺は俺さ・・・

それから父がむりやり家に連れて帰って

最後の静かな日々

元の飼い主さんが「食欲がなくてもこれなら食べるでしょう」と送ってくれた

特別なキャットフードだけむしゃむしゃ食べて

あちこち うろうろ 歩きまわって

お風呂の段差で転んでも歩き回って

暖かいホットカーペットの上で動かなくなって

気づいたら冷たくなって

いました。

冬の空は星がいっぱい瞬いていました。

ああ、テスちゃん、しあわせだったのかな・・・

今も 思い出すたび

ごめんね 

ごめんね

そればかり

どうか

世界中の猫が

ふしあわせで

ありませんように。

※2006年ごろに作った「松岡宮の今週の壺」に「テス永眠す」という詩を書きました。こちらです※

https://docs.google.com/viewer?pid=explorer&srcid=0B4ajrOV6fitkNWRhZDliMmEtNjdkYy00NDY4LTlkMDQtOGYyZmJlNzQzNTI1&docid=3439dd79edc65bd115ae5c6e0ee05839%7Cd7a7ab3d00030ad1286df56dc219f4ea&a=bi&pagenumber=45&w=800