駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

急病人席をめざして突撃する人々の群れ



ぎう ぎう ぎう
歯をくいしばるのは潰れた風船たち
飛ばなくては 
飛ばなくては
突撃するのは急病人席
その席は もともと ひとつだけだったかもしれない
だけど 増やせば増やすほど増える不思議な座席



雪は未明から降り積もると気象庁は発表した
・・・るぞ るぞ るぞ
大雪が来るぞ
大雪が来るぞ
JR東日本は なので
電車の本数を7割程度に間引きますと アナウンスした

その時気づけばよかった
首都圏の通勤電車で恐ろしいのは
雪ではないのだと



人間ならば椅子を取れ!
急病人席をめざして突っ込む人々の群れ
雪の中 それは思考でも決断でもなかった
ただ ただ 職場を目指して突っ込む人々の群れ
こ わ い よ う お か あ さ ん 
・・・ぎう ぎう またひとつ ぎう
風船がこれほどまでにうすく潰れるものであると知ったとき
天に見放された緊急停止

「緊急信号を傍受しました しばらく停止します」

もうだめだ 海苔になろう
もうだめだ 海苔になろう
やっぱりだめだ海苔にもなれない おにぎり食べたい
こ わ い よ う お か あ さ ん
あなたがつぶした葡萄の実で首都圏は紫色に染まりました
たぽ たぽ たぽ
流血する首都圏鉄道網
びょう びょう びょう
ああ 
あんなにたくさんの人が潰れてしまった
あんなにたくさんの人が潰れてしまった
のに
4時間くらいたったら 塗り替えられてしまうのね
いやっほう
おれ よく がんばりました
大したことはありませんでした
なんで電車の本数減らすんだよ
おかげで仕事に遅刻してしまった
そんなふうに 忘れ去られてしまうのね
みんなで飛び込め!
みんなで倒れよう!
みんなのみんなの急病人席!

ある冬の日に
いつか 高いところから わたしはわたしをみる
なんか傷んだ わたしの亡骸をみる
ああ、わたし 死んじゃったのかと
だから あのとき 休めばよかったんじゃないかと
わたしが わたしを 
不思議に みている