駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

日本語の駅のデスティネーション

・・・・ございます・・・

・・・・ください・・・・

そうしていま 日本の駅にいるわたし

どんどん なにか よくわからないものが 身体に注ぎ込まれる

駅員の暖かな声が白い手袋をつけてわたしに届く

すると どんどん わたしが 変質してゆく

泡立ちの虹たち

手のひらに包まれた固形石鹸がだんだん小さくなってゆく

駅員がわたしを洗ってくれているのですか

小さく小さくなってゆく

日本の駅にいるわたし

クンニリングスむなさわぎ

全身剃毛のデスティネーション

わたしの身体に生えそろう青い虫たちを刈り込む駅員の穏やかな声

・・・毎度ご利用ありがとうございます・・・・

・・・黄色い線の内側にお下がりください・・・・

あっ

日本語だ、

日本語あふれる、

ターミナル、で、駅員のマイクを通した声は触手になってわたしに触れかかる、来た、駅員が、駅員が来た・・・

お客さん どうか下がって 抱きすくめている駅員の声、

ちくびなでる、ちくびなめる、ちくび食べちゃう駅員の声、

わたしのへそに線香入れては火をつけ消毒する、駅員の声、

雨の日には雨をよける、アナタの傘になりたい駅員の声、

疲れたアナタのほんのわずかなともし火になりたい駅員の声、

駅員、どうしてそんなに優しいのかしら

駅員の善意がコートのボタンになって金色に輝いている

すらりとまっすぐな駅員の背中が日本語をやたらめったら饒舌にまとい駅員はいま、ございます、ですます、ください、いたします、わたしの身体にインサートしたくてたまらない、たまらない、駅員とはただのツールではなくシステムの一部ではなく世界平和を体現した人間性の極地みたいに、制服も美しい駅員はわたしの前に立ちあらわれ、わたしを染め上げてしまうわ、アルトボイスの抱擁とクンニリングスむなさわぎ、傘を差さない人は駅にいらないのです、体毛ボウボウな人は駅にいらないのです、歌を歌う人は駅にいらないのです、そうしてわたしもあっというまにネジを抜かれて、つるつるになって、泡だてられて、小さく痩せて、意識はわずかに薄くなる、それってなんだか、いい気分、あんなにパリで身につけたように感じた、身体の力や、姿勢や、まなざしや、耳垢や体毛、そんなスーベニアが、あっという間に洗い流される、すべては日本語、すべては日本語なのだ、長々としたアナウンス、駅員が乗客に向かって語りかける言葉は、言語の形式でなく言語の中身は、日本語なのだ・・・・・

わたしは日本語ネイティブに生まれました

もしもここで日本語に耳を塞げば わたしは居心地がわるく そして元気なままで いられるのかしら・・・・

 お客さま

 お客さま

 ・・・・ございます

 ・・・・ください

夕暮れのにぎわったターミナル駅では

駅員の暖かな声が白い手袋をつけて

わたしの髪に

触れてくる

のです

時差ぼけがまだ直りません!睡眠リズムがぐしゃぐしゃです・・・。西から東に来ると時差ぼけがひどいって言いますが確かにそうです。わたしも普通の人間だったのですね。

初詣はどこに行こうかしら?