駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

しっこ

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もしも娘が生まれたら

しっこ、と名前をつけましょう

失うという字で、失子、と、名づけましょう

おめでとうございます、元気な、女の子、

からだじゅう 穴だらけの

からだじゅう 未熟な

からだじゅう 足りなさに満ちた

娘の名は

失子

(丁寧に呼べば 御失子だ)

おめでとうの声やカードが降り注ぐその朝から

産着や靴下を丁寧に着せられて

丸々として ほんとうに可愛い女の子

失子ちゃんは

得子さんになり

裕子さんになり

富子さん

恵子さん

豊子さんになり

それから最後は

愛子さんになれるのかしら

渋谷の歩道橋のいちばん揺れるところで

年を重ねるとは失うことばかりだと

落書きがブブブンブンと歌っている

もしも娘が生まれたら

しっこ、と名前をつけましょう

失うという字で、失子、と、名づけましょう

骨と皮と肉をめぐる排泄物のパレード

猛暑にただれる流れない川

生まれおちたときから

何ひとつない

失われるべき

ものなど

失子なら

失子なら


※この詩は「華原朋美/Blue Sky」に触発されて書きました。