駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

もうすぐ寿命をむかえそうな喫茶店「蛍」

あるJRの駅の、商店街のおしまいのところにあった、喫茶店「蛍」(仮名)。


キイコーヒーの看板に惹かれて、入ってみた。


 「あら、おねーさん、いらっしゃあああああい。」


の声の大きさに、入って3秒で後悔する。


広くはない店内に、客は誰も居ない。秋晴れの日、むわっとする、昼間・・・。


 「いやー今日は暑いですね、クーラーつけましょう、暑いですよね、暑いですよね???ね????」


と、年齢は60歳か、いや70歳以上かもしれない、それはマスター、

肉付きのいい女性が、熱烈にわたしの返事を求めている。


エプロン、白髪のひっつめ、奥のテーブルで、今の今までナフキンをたたんでおりました、

といったような、風情。


・・・お、おじゃまして・・・・悪かったかな・・・。


とりあえず看板にあった、500円のサンドイッチセットを頼んでみる。

キッチンでゆさゆさゆれる、マスターの肉体。


・・・どうしよう、今日はじめてのお客だったら、どうしよう・・・・。


その間、そのあたりにあった雑誌を読んでみる。

ビッグコミックは2008年3月のものだ。ゴルゴ13はいつ見ても若々しい。

新聞も読んでみる、これはかろうじて今日の新聞、ああよかった。


ふと床を見ると、茶色いものがサクッと走っていた・・・。

・・・・

・・・よ、よくあることなんだろうか・・・・。


そうしてずいぶん入念に作られたわたしのためのサンドイッチは

かなり待たされてわたしの前に出された・・・

・・・アイスコーヒーがものすごくまずい・・・・

こんなにまずいアイスコーヒーをわたしは知らない・・・

サンドイッチは普通だったが

とろける黄身とさっきの茶色い物体が絡み合ってとろけるような気がして

どんどん どんどん 

食欲がなくなってくる・・・・

テレビではワイドショーががんがん流れて

マスターの女性はナフキンをたたみたたみして、マスターの女性の匂いがこちらに押し寄せてくる、

お客は誰一人として来ないし

電話もちっとも鳴らないし

見捨てない客は茶色い触覚を持っているあいつらだけ、か?


時が止まったような喫茶店「蛍」


ふと 思った

わたしが入らなければ

きっと ずっと マスターは ワイドショーをみながら ナフキンをたたんで いたんだろうなあ


この世界には そんなふうに 孤独な場所が・・・・・はじめは何かをずっと待っていたけど 来ないから もう待つこともない ような そんなふうに 孤独な場所が たくさん あるんだね・・・・


まずい まずい まずいアイスコーヒーが、まだ胸の奥に残ってる。味へのこだわりを忘れたマスターが、おしまいまでの短い道を、ナフキンたたんで待っている。


ごめん、たぶん、もう二度と行かない・・・・。



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