駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

ひとを縛るに関する殴り書き

JR東日本の車掌 背中の曲線が美しい・・・

と 

乗り込んだステンレスの列車

京浜東北線は700系と競争しながら

どちらも鳥類 ですけど

跳びあがったりは しない・・・

地面にくっつけられている から・・・・

それにしても今日の車掌は柔らかみのある車掌だった

少しきつめの制服の奥で上下する左右する体液たちのリズムがきこえる

ある駅で 車掌は

片足を投げ出し 片手は出発のベルを鳴らし

顔はモニターを見上げているが

まっすぐにあげた喉仏のあたりで目視もしている

車掌とは毛穴の数だけ瞳をもつ仕事だ

そんな緊張感を漂わせながら

扉を閉じる とき

車掌の身体は半分透き通っている

  縛 ら れ た 車掌・・・

という言葉がふいに 浮かぶ

だめだ そんな言葉を浮かべては・・・と思うごとに

 たこ糸・・・で

 あるいは テグス・・で・・・

 縛る・・・

といった単語が舞う

透き通るビースの秋休み

秋のうららかな日差しに浮かぶ

柔らかな肌の車掌の背中の曲線

いや・・・

あなたはすでに 縛られている・・・

のかも しれない

あひるとか ガチョウみたいな 鳥が いるとして

それを強い綱で ぐるぐる巻きにしたら・・・

  う、うまそう・・

じゃなかった・・・

無力なのか それとも有力なのか

白い手袋がうしろのほうでピヨピヨしてる・・・

ああ、でも、なかなか器用じゃないか・・・・

そうしてスイカのペンギンに収束する

ふつうの ありふれた みなぎった 車掌・・・

縛られた車掌があざやかに無駄のない動きで出たり入ったり東北線

ああ、なにも 縛らなくても、よかったのだ。

 ◆   ◆

 ひとを縛り上げることってどうしてこんなに楽しいのかしら?

 わたしも 5月のイベントで ひとを縛った

 縛られたひとを倒すと もうゴロゴロ動けない感じになった

 ああ それは なんて 楽しいのかしら

 自分が誰かを 縛りつけ 動かす ということ

  ・・・そこでバケツを持って明日まで立っていなさいと叫ぶ女教師のドラム

 ・・・そのなんともいえぬ欲望は ひそやかに地下茎をゆきすぎる

 わたしたちはそんなふうに他人をすぐ縛る

 おかあさんはあなたがそんなひとと付き合うことは悲しいわ

 といったことばで

 あたしそんなことしたら自殺してやるわ

 といったことばで

 あのひとに逆らったら だめだよ クビだよ

 といったことばで

 

 

 ◆   ◆

 わたしは列車に乗っているときには 

 ステンレスの箱に詰められている

 それは わたしが 縛られているのだ と 感じていた

 だけど

 わたしだって 車掌を縛ることはできるのだ

 そう 乗降客の少ない、モニターのある駅で

  ・・・ドア閉まります・・・

 わたしは 片足を車内に残し

 もう片足を 地面において

 ドアに 挟まれてみる・・・

  ・・・お客さん、下がってください、ドア閉まります!

 もしも ドアが 鋭利なナイフなら

 わたしの身体は半分に切れる そんなところに立ち止まり

  お客さん、ドア閉めます、ドア閉めますよ!

 両手を 両足を 広げて

  ・・・(ドア閉まる)

 挟まれる。

 つぶれる。

 吐く。

 失禁する。

 それはわたしが縛られているようにみえるだろう

 だけどその瞬間

 わたしは車掌を縛っている

 のだ

 そうして 

 ひとが ひとを 縛り

 ひとが ひとに 出会い

 駅を交わし

 駅を交わし

 やがては別れてゆく という たった一曲ぶんの邂逅が 

 なされる

 

 ◆   ◆

 そんなこんなで目的地についてしまった

 700系がガアガアと鳴きながら走り回っていた

 京浜東北の車掌の身体はありとあらゆる糸や紐や綱ですでにぐるぐる巻きだった

 ごめんなさい と 言いながら

 降り際に そっと さいごに

 絹糸を