プールに入る前は柔軟体操をしなさい
プールに入る前は消毒をしなさい
プールに入る前はシャワーを浴びなさい
それから ・・・・
あのこ 勉強が出来るから、気に入らないから
あのこ タオルをいいかげんに巻いて着替えていたから
・・・摂氏35度に凍りつく窓ガラス・・・・
あのこ 男子のまえではぶりっこして、さいあくだから
あのこ お父さんが象の彫刻を集めるのが好きなんだって、気に入らないから
青白い肌に血管が浮かんで気持ちが悪いから
あのこ 泳ぐのが苦手だって 泣いていた、
から
・・・貝殻も魚もいない海の珊瑚礁を見たことがあるかしら・・・・・
ねえ、水着は立派な競泳タイプ、なのに、と、みんなであのこを抱っこして大きな室内プールサイドから落としてあげるの、親切よ、親切・・・・
どぼん!
どぼん!!
あのこの肌はとても熱かった、身体は意外に重かった、肉だ、肉なんだわ・・・今頃泣いているのかしら・・・金魚をいっぱい、仲間にあげるわ・・・・あのこの記憶を消してしまいたい・・・・ハードディスクのクリーンインストール、何もかも壊れてしまえばいいのに・・・・ごめんね、わたしは・・・・
・・・・あら、どうしてわたしはこんなプールの底にいるのかしら・・・あ、誰かがわたしのうえにのしかかって、首を絞めてくる、首を!うぐぐぐぐ・・・・沈むなあ・・・でもべつに怖くはなかった、いや、だって、それはおとこではなかった、ような、ああ、幼稚園だったか、の、先生、と呼べるような相手でしょう、か? わたしよりも大きな、おとなの人だった、かもしれない・・・いいんだよ、いいんだよ、そうでしょうか、水圧がかかってくるともう言語能力が損なわれて、ありゃありゃ・・・・世界がみんな青に染まる日、遠くで東急線が走る音がする、
そのとき浮かんだ単語は、・・・・甘 ん じ る ! シル? 汁? 知る? ところで、わたしももう少し漏れていいのかしら。いいんだよ。風鈴を割ってしまった。いいんだよ。こどもは家庭から出来るんじゃないのかもしれない。よくわからないけど、性的なものは家庭にはないんじゃないかしら。だってわたしの両親はいちども性交をしたことがないんだよ、なんていうと、また誰かがわたしの首を絞める、ああ、すみません、ほんと、反省してナマコを目指しますアメフラシを目指します・・・彼らはとっても吐くのが上手。・・・一度死んだら?それがいいよ。みんなすべては学園祭の出し物で、にせものなんだ、とかなんとか。ああ、このまま海底でゆるゆるしていたい。ずっと目が覚めませんように。
引きずり出されたわたしが水平線に砂だらけ。夢の精がやってきて、砂浜に小説を書いてゆく。ああ、そうなんだけど、恥ずかしいからやめてよう。
続く(続かないかも・・・)
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