駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

雨の日の見習い車掌

東急線の車掌室は小さい

そこに 肉付きの良い 見習い車掌をぶちこみ・・・

   ・・・まもなく、あっ、失礼しました・・・・

なにが失礼だったのか 乗客としてよくわからないまま

雨の日には帽子にビニールなんだね

そうだよ きちんと きちんと かけて・・・・

見習い車掌が 大きな身体を 小さくして

汗かいて 

励む・・・

 かわいい顔の若い車掌

 きちんとノリのきいた 真っ白なシャツには

 お父様の誇りとお母様の励ましが

 縫いこまれている

 綺麗な肌をした 若い車掌が

 ステンレス車両よりも硬い背中で

 ああ

 発車した・・・

   つぎは だいかんや・・

     失礼しました つぎは なかめぐろ・・・

    ハァ ハァ ハァ・・・

   ・・・どうしてだろう 

   指導係の車掌はぜんぜん濡れないのに

   この 見習いの車掌ばかりが

   濡れてゆくのは・・・・

     どうしよう の 中目黒

     日比谷線からの客が押し寄せる

     雨が ターン ターンと 耳に鳴る

     流れるすべてが洪水になるそんな速度を知っている都会

     いつ閉めるのか 閉めるのか

     マイクを取り出せと指導係が促す

     彼が 

       れ 列車 乗られ ま したら奥のほうまでご ごじょうし・・・

     といいかけると

     指導係は彼からマイクを奪い

     ドア閉めまーすごちゅーいくださ。

     そして シャット!

      ざぶ。ざ、ざぷ。

        た た た・・・・

            さ あーっ。

     ・・・・ああ、またどうしてか

     見習い車掌だけがパル・ポレ・濡れている

     

       つぎは とり・・・

        しつれいしました 次は 学芸大学です

         ちがう! 違う!

           (特急だもんね・・・)

       ・・・重ねて失礼しました つぎは 自由が丘 です・・・・

     もう彼の身体はびしょびしょ

     この東横線の乗客のすべての水分を集めてびしょびしょ

     若い身体にはりつく制服もう濡れて濡れて彼の若くたくましい体のラインを鮮やかに見せ付ける若い車掌はいまだ人間、はずかしがしやの若いおとこのこが透けて透けて見えるよ、終着駅までなんて長い長い雨の道・・・・

     

     おりしも台風

     乾く間もなし

     かわいい顔をした車掌の

     肉をたくさん乗せた若い身体のバルーンが

     最大瞬間風速44メートルの風

     高く高くと空の高みに

     風化してゆくの

     かしら