はぁはぁ・・・うぐ~・・・・
・・・すごい厚化粧の若い美女だなあ
と
痛む腹を押さえつつ 感心する病院の廊下・・・
彼女は 長くて明るい茶髪をくるくると巻いて
睫もグロスも
か 完璧だ・・・・
お 夫に見せたら喜びそうな美女だなあ・・・
は 白衣・・・
い 医師なんだろうなあ・・・
い 医師で美女なんだわ・・・
彼女はわたしの腹に「ヤッホー」とエコーをするために
呼ばれてきたのだ
彼女は丁寧な客さばき じゃなかった 患者さばき で
個室に案内してくれ
上半身の服を脱ぐように言う
そしてクリームをぬりぬり超音波シアターが始まる
ヤッホー と 彼女がわたしの腹をまさぐる旅だ
まず 上腹部
右ですか 左ですか はい 息を吸って とめて。
ん。
(ときをとめて じかんをとめて・・・)
ちらりとみたパソコンの画面には黒々とした山並みのすがた
まだわたしはその見方がよくわからない
霊がいるのか そこにいるのか
エコー検査は超音波!
エコー ハロー ヤッホー ウェイブ!
・ハイ、モスモス・・・
わたしの胃壁がにょろりと反応する
わたしの内臓は消化器科の美人女医にまさぐられてゆく
ぐりぐりと・・・
・・・ちょっと身体をかたむけてください
あっ・・・
いえ、わたくしがアナタの身体に手を差し入れ臓器を傾けますから
そのままで さあ ちからをぬいて・・・
と わたしの内臓をにぎる美人女医
夕べ食った焼肉を思い出すのか思いださないのか??
それからわたしの内臓壁は
とうとう 裏側まで 見物されて・・・
あげくのはてには
ちょっと子宮を見ます・・・
と
その指先が 下まで降りる・・・
子宮を 卵管を 膀胱を 握る 女医の指先 ・・・・
かすかに盗み見たその山脈の地図に
亡霊の影が 薄笑いしている
まさか と いろんな文字が エコーに浮かぶ
その女医さんは案外ふつうの医者であった
そして 予想通り というか
わたしの内臓は とても健康状態のよい きれいなものであった
そうな
そしてわたしの腹痛は
「婿スタ」という名の薬で
寛解す
♪