駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

嘔吐する車掌のバラード

一級河川の夕暮れに鉄橋を渡る10両編成

嘔吐する車掌が川面に映る

 あっ。

 ご・ご・ごちゅ・うううう・・・・

   ごちゅうい・・・ください・・・・

ド ド ド 

 ド ド !

手袋の左手で口元をかくしその指の隙間からこぼれるほどの強さで嘔吐する制服たちのバラード・・・

幾重にも絡み合ったさまざまなフォントの活字を絡ませた大空に吹き上げる若く不慣れな身体のバラード・・・

未熟ですからついつい仕事を詰め詰め込んでしまいます容積の小さなこのストマックに

ドドド土下座してその肩先からまた大量の嘔吐する嘔吐する銀色ボディーの車掌の充血眼

ボタンをきっちり閉めたジャケット汚れてしまいましたね吐瀉物で戻してしまったあなたは綺麗だ綺麗だ終着駅のオルゴールの音

シルバーホワイト軽量ステンレス製のスリムな胴体は腹だけが異様に出っ張っていた

車掌の口から身体の奥へと詰め込み詰め込みしてそのとき車掌はただの筒です経路に変わる

わたしたち愚かだから勇気がないから起こってからじゃないと何一つ気づいてあげられない嘔吐する噴射するもだえる濡れて汚れる車掌の涙腺バラード

 ・・・もともと 無理だって 思っていたんだ・・・・

 誰か 言わなきゃ それはもう無理なんだよ って

 誰か 言わなきゃ それは嘘だろう って

耐えられるだろうか いわれなきことで 何を言われても ガガガ 耐えなきゃいけない・・・ 暑い まぶしい ・・・ もうすぐ県境 耐えなきゃいけない・・・タンタンタン 石になりたい 風になりたい ドドド 誰も僕のことに 気づいてくれなくてもいいから 今すぐ消えたい 粉になりたい つり革につかまる手が 汗ばむことさえ もどかしい・・・・あら 知らなかったのですか 人間のいのちなんて 別に重たくはないのです 他人の命なんて 気づかなければ気づかないものです まして そこに人数が多ければ多いほど 紙一枚よりも軽い あなたがたの 身体

 ・・・この電車 信号機故障のため しばらく停車いたします

   回復のめどは たっておりません・・・・

胃腸に残る土嚢を携帯メールの絵文字に変換してやっとのことで時間が流れる朝のつり革

立っているのもやっとの人々をたたんで詰めて電気で運ぶ車掌の身体も加速が鈍い

自慰する少女はからだの管にいろいろなものを詰め込み詰め込みX線で解読される

脳血管性障害は発症3時間が命なんです血栓溶かすの

 お お おきゃく さ 

  おきゃく さま・・・

   

    金属疲労のシルバーボディーが強風のなか揺れてる揺れてる

    車掌あなたが嘔吐する吐瀉するそんなことすらあたりまえになってきた

 空を飛ばない急行電車のバラードそっと止まった車掌の時計

 車掌の吐瀉物はわたしの吐瀉物と混ざり合って5分遅れのダイヤをきざむ

 気をつけろって何に気をつけていいのかわからないような東京終着おつかれさまです

 もう役割は役割は死んでしまったの無力化したの頑張りすぎたね吐いちゃう車掌を抱いてあげたい抱いてあげたい

 鉄橋下では犬の散歩のひとびとの群れモラルハザードの歌をください

 いつか死んでしまうひとびとが発した文字がたくさん落ちていた 

 川原に