駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

のっぽのアー・ジェイル様

それは 比較的背の高い車掌だった

JR東日本の制服をあまりに素晴らしく着こなしているので

彼が動作するだけで 音が鳴る

彼が動くだけで 竹が鳴り 風が吹き荒れる・・・・

制服を着た音叉

擬音やオノマトペを内包した

車掌!

腰をかがめて出発進行!!

 シャラララ・・・・

そして電車は着地の動作に入る

ドアが開かれ 乗客が出入りする

桜は満開 春の日差しを浴びながら彼は時計を見やり

その長身を伸ばしながらモニターを観る

横顔

わたしは車掌の脚の長さにおどろく

そしてまたその細さにもおどろく

まるで竹馬のような脚

そしてそんな肉体にもきちんとaffordする制服

この制服がいったいどのように作成されたのか

について考える・・・・

そこにはかならず採寸がある

春の頃、下着だけになって、身長とか体重を量るのね

ああ、聞かれたくない・・・

背伸びして・・・

測られる、メジャーで体が、数値化される、置かれる・・・

そんな目にあってきたのだわ

この 車掌さんは・・・・・

車掌さんが車掌さんでなかったころ

あなたの体を小さなばあやが測定して

細かく こまかく 体中のあらゆるところを測定して・・・

 や やめてください くすぐったい・・・   

そうしてこの車掌の制服は出来上がったのだわ

アー・ジェイル様。

町並みを見下ろすその冷ややかなまなざしの

アー・ジェイル様。

・・・育つ。

・・・車掌は、駅員は、育つ。

その車掌はよく見ていると、一駅ごとにさらに成長を続けているようだった。シャララと音をたてる制服がどんどん高さを増してきている・・・

 はい ベビーカーのお客様 ご注意ください・・・・

  不審なものがございましたら 駅係員にお知らせください・・・・

車掌がどんどん大きくなっていったのは いつからだったんだろう・・・・

車掌を大きくしてしまったのは もしかしたらわたしかもしれないね・・・・

   

アージェイルの車掌さん、あなたの長い足の間から富士山が見えるわ。あなたもこんな普通電車よりも新幹線が似合うわよね。ああ、桜が咲いている。桜なんてすぐ散ってしまうのに、バンバン下品に咲いている。あなたが伝える物語、席を譲ってあげましょう、妊婦さんには、赤ちゃん連れのお客様には、お年寄りや体の不自由なひとには、具合の悪そうなひとには、徹夜明けのホストには、朝から晩まで働く中間管理職には、やっとのことで勇気を出して電車に乗ってみた女性には・・・・・・・・ああ、また車掌が育つ。あなたの脚ってあさがおの支柱みたいだ。わたしはそれにつかまって、カーブする駅とそこで織り成される物語をずっと見つめていたいものです・・・・・。シュキシュキシャショウシャンシュキレシュ・・・・。

大きくなってしまった車掌さんに抱かれて わたしはいい気持ち

ねえ、アー・ジェイル、大きくなったあなたは どんな気分かしら?

と見上げると

成長しすぎた車掌の

その顔は もう空のかなた 

見えなくなっていた