駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

深海・千代田・90度。

 深海・千代田・90度。

 さあ

 国会議事堂前を出発します・・・・

 灰色の空気を沈殿させた運転席に

 浮かび上がっては消えてゆく

 白い右手

 レバーを手前左に90度回転させて

 押せ

 加速

 そして90度は軽く角度をゆるめ

 80度になり

 運転士はそれからふっと手を離す

 都心の真下にネズミが憩う

 チュンチュルチュー

 ・・・どんな機械にも「遊び」は必要なのです

 隙のない右手が小刻みに動く

 運転士の身体はすべてを受け止めようと小刻みに震える

 やがて見えてくる赤坂の駅

 千代田線のホームは長い

 滑り込む赤坂の駅

 まだ運転士は80度をやめない

 まだ運転士は80度をやめない

 赤坂ホームのど真ん中

 小柄なホーム係員が帽子に手をあて合図する

 はっ、いまだ、と、運転士

 その角度を0度にする

 あっ、止まる・・・と思いきや

 また45度になり

 0度になり・・・

 ああ、なんと千代田線を知り尽くした華麗なる右手のプレイ。

 ふわりと停車した1両目、あなたの右手の人差し指が、自分に太鼓判を押す。

 静かな停車、赤坂ステイション、ブラボー運転士!

 知りませんでしたか、わたくしは生卵を運搬しているのですよ。

 ああ、確かに乗客が持っていた生卵は どれも無事だった。

 あなたの白い右手が誇らしげに

 ぴんと

 伸ばされていたよ