日曜日は久しぶりの「不用品フリマ」でした。
場所は、はじめての場所となる「世田谷公園」。
実は、昨年・一昨年に流れまくった、大宮ハンドメイドフリマの振り替えでした。
そろそろ振り替えないと、忘れそうで。
ただしこちらはハンドメイドでなく不用品のみのフリマです。
前日は雨でしたが、天気予報では朝から雨が上がるというので、一時間遅れて世田谷フリマは行うとのこと。
さすがに自転車で行くのは難しそうなので、二子玉経由で
三軒茶屋から徒歩で行こうと思いました。
◆
ハロー、世田谷!
三茶を降りて、国道246を渋谷方面に歩くと、
昭和女子大がありました。
ちょうど、受験の日だったのか?「保護者のみなさんへ」と書かれたボードを持った職員の方がレインコートを来て大声で案内をしていました。
・・・はい、うちの娘が受験で・・・
じゃないじゃないじゃない、すみません ふざけました。
246をまっすぐ進むと「右に世田谷公園」という案内もあり、右折すると公園がみえてきました。広々とした道。都内としては大きな公園です。
D51もある、楽しげな公園。
朝は静かでしたが、昼には犬と子どもたちでいっぱいになりました。
子供たちの貴重な遊び場なのですね。
D51の黒々とした胴体は、銀河鉄道スリーナインを思い出させました。
背の高い冬の裸木の向こうには分厚い雲が広がっているが、ときどき青空もみえた・・・。
世田谷発・機械の身体をもらえる星へ、連れて行ってくれるかしら。それとも流れ星になってしまうのかしら。

・・・汽車は・・・闇を抜けて・・・光の海へ・・・
夢が散らばる 無限の宇宙さ・・・
星のかけはし 探しに行こう
人は誰でもしあわせ探す 旅人のようなもの・・・
(「銀河鉄道999」 歌:ささきいさお、作詞:橋本淳)
雨上がりの公園。
木の下に陣取り、ブルーシートをひろげ、レコードを広げました。
フフフ。
今日は、マニアックな80年代アイドルのEPがあるのだ・・・。
相川恵里ちゃんなんて、あっという間に売れるだろう・・・
そのときはそんなふうに思いましたが、誤りだったことに気づかされます。
◆
しかし寒い。
小さな椅子を2個持ってきていてよかった。
お行儀悪いけど、片一方の椅子に足を載せれば、少し寒さがましになった。
接地は寒いことなのだ。足が地面につながっていると、どんどん、どんどん、体温が奪われ・・・霜柱になってゆく・・・。
フリマのさなか、売れないものは、霜柱になってゆく。
歌おう。
踊ろう。
少しだけ地面から浮かんで
歌おう・・・

ブースを広げたとたん、いろいろな男性が近づいてきました。
男性が、男性が、わらわらと・・・レコードに触れながら、物色。
なかでも、背の高い男性が、「ラ・ムー」のEPを手に取ります・・・。
どうみても平成生まれのような若さ。
「あっ お目が高い!ラ・ムーはかっこいいですよね」
と言うと
「かっこいいですよね。」
とにこやかに返事してくれました。
そして値切りながら買ってくれました・・・。
その若い方が
「ほかにシティポップのレコードはありませんか?」
とお尋ねになったので
と返事しておきました。
・・・愛は心の仕事ね・・・
・・・ロンリーネス 救える チカラね・・・
(中略)
I-My-Me-Mine, MY Boy
憧れや優しさが
(「愛は心の仕事です」歌:ラ・ムー 作詞:売野雅勇)
菊池桃子の
サウンドは、もともとかっこいいですよね。
ラ・ムーを楽しんでくださっていると、いいな。
このフリマは、家庭の不要品(もったいないフリマ)とのことですが、プロのような方ばかりでした。個人の感想です。
荷台にごろごろ乗せて、みんな顔見知り同士のようで、次はどこだ、あそこだと楽しく話し合っています。
隣の区画はおしゃれっぽい男女、素敵な衣類の数々、家庭の不用品かもしれませんが、それにしても手慣れた運搬、広げられた机、机に貼られた防水加工の「1000円」の文字、そして「PayPay使えます」のこなれた印刷の文字の赤よ・・・それも防水加工ずみ・・・プロっぽいなあ。
そしてお客さんも眼光鋭い男性が多くシイレーのためにお越しになっているような雰囲気でした。
シイレー。
シイレー。
かりめるの・・・しいれー???
いや個人の感想です。
・・・そう、朝いちのお客さまたちは、若い男性が多かった・・・もう、シイレーってことも、隠そうともしないような、くたびれた服を着ているわけでもない、むしろ仕事のできそうなヤンエグたち(古い)家庭の不用品フリマというほのぼのとした予想とは違い、プロとプロとが火花を散らす、まさに資本主義の最前線、愛は心の仕事だね・・・いまこの瞬間に売れそうなものを見逃さないぞという鋭い眼光が火花を散らし合う・・・そんな雰囲気でフリマの幕は切って落とされたのでした。
それこそ蚤の市、市場なのだな・・・というのは個人の感想です。
◆
今回は音楽主体と決めたので、荷物は少な目でした。
音楽はそれなりに売れると思い、その通りになりました。
ところでカセットを売るための
サウンドチェック用に、SANSUIの
カセットデッキを買ってしまったりしました。新品です。
SDを刺すとmp3を再生し始めるというシュールな令和のラジカセです。
100円アクセサリーも3個も売れました。ブレスレットが2本です。
これも、送って下さった方がいたのだな・・・ありがとうございました。
ご寄付くださったみなさまの思いを、世田谷の空に向けて飛ばす・・・。
ああ、晴れない。
最初の波が去ったら暇になったので絵を描いた。
ラクガキでなく、想像したものでなく、目に映るものをしっかり観察して描こうと思った。
木の枝が、あるところから分岐して、広がりを作るのを観察し、描いた。
そのとき気づいた。
木は最初からこの形になりたいわけでなかったのだ。その時々の気象条件などに基づいて判断してきた、あるいは奮闘努力してきた時間の蓄積、その結果なのだ。
曇り空に指を伸ばす枝は 結果なのだ。
そしてその美しく不均衡な姿は、指を伸ばし続けることの、結果なのだ。
青空が、なんて遠い1日。
それでも高い空を目指して、伸ばす指の、冬の木立ち。
◆
14時ごろ、差し入れ妖精のベーシストさんが来てくださいました。
たくさん買ってくれたり、どら焼き&チョコくださったり、
飯島真理「midori」のテープを下さったり、天使か!ありがたやです。
ずらっと並べたアイドルEPをみて、なんとなく松岡の好きな
アイドルソングに一定の方向性を見いだして下さったようです・・・おお、どんな傾向だろう。
「midori」はLP持ってるけどカセットだと聴きやすいのでありがたいです。
特に「いつものパー
ティー」って歌が好きで・・・と早口で言いながら
気づけばそれを歌っている自分がいました。
・・・きっとあなた無口な子と・・・思ってたでしょう・・・
(中略)
あ の 日
あー
(はじめて
出会った
(ふたりは
瞬間
(ふしぎだね
はじけた
(あ-
恋の予感を
あー
(おたがいに
隠して
(ばかだね
気のない素振り
素直になれずに
上記の歌詞は自分の脳内で再生されているコーラスイメージで書いてみました・・・どんだけ覚えているんだ・・・。いやいや、こういうふうに、コーラスとかけあうのが、これぞ、歌!という感じで・・・なんかよかったのです・・・。
ふぅ。
真理さんは、いいものだ。
「朝から晴れ」の予想を裏切って世田谷の空に分厚い雲がたれこめた14時半ごろ、
「フリマ日記」でおなじみの詩友・青条さんが現れました。
なんと、けっこう遠いご自宅から自転車で来た!とのこと。逞しい・・・。
そして、
西村知美のEP「君は流れ星」をみて、
「がんばれキッカーズの主題歌だ!」と興奮して、いきなり歌い始めました・・・・
その歌の歌詞がすごく正確だったので、子供のころに聴いた音楽の浸透力は凄いと感じました。
夕映えの空に
みーぃつけた流れ星
白いー ノートにー
そっとぉ 挟んだの
世界でいちばん
ちーぃさな祈りです
淡い思いが・・・
きみに・・・届くよう・・・
ちなみにわたしもそらで歌えます。
あの頃、
売野雅勇さんの歌詞が好きで、影響を受けたもので・・・。
それにしても80年代アイドルの歌は、「おセンチ」で、大げさで、どこかはかなく、生活の苦しみはなく、優しく、美しい。
もちろん性のにおいなど、ありはしない!
今のアイドルの歌もいいしなんでも好きですが、それでも自分の表現の根幹を形作っているものが、そこにあるような気がするのです。
(それが、あの方の言った、「松岡さんの好きなアイドルに共通性がある」という点なのかな・・・?)
◆
この日の総決算は、やや黒字でした。
ただ、自分が好きだったEPを断捨離しようと・・・マイナーなアイドルのEPも含め、身を切るような思いで持ってきてずらりと並べていましたが、振り返ってみると80年代後半以降のアイドルものは、あまり売れませんでした。
自分の感覚がずれていたことに気づきました。
ネットではマイナーなアイドルほど高値でよく売れます。
しかしこういうリアルな場では、メジャーで有名な方のほうが売れるのですね・・・
当たり前か。
断腸の思いで出した、
西村知美ちゃんをはじめ、
堀ちえみちゃん、
石田ひかりちゃん、
小高恵美ちゃんや、
相川恵里さんのEPは、売れませんでした・・・。CDシングルの短冊が売れなかったのも、同じような理由でしょう・・・。
マイナーなアイドルはネットで販売するほうがよさそうですね・・・
(いや、大事にしましょうよ。
あー
(大事にしましょうよ
あー そうだね・・・
あー そうだわ・・・
ごめんよ、資本主義に、ちょっと毒されすぎたようだ。
15時になると雨が本降りになったので撤収しました。
にじんだ価格表示板。
濡れたEPたち。
自分が愛した80年代音楽を高値で売ってやろうと・・・その自分の真心こそを裏切ろうとした罰のように、もう売り物になることを断念したかのようにびっしょり濡れた商品たち、気づけば青条さんが片付けてくれました。
青条さんには搬出などお世話になりありがとうございました。
◆
資本主義の風に吹かれながら、やや黒字だったとはいえ、やっぱり自分は勝ち抜くような才覚はなさそうに思いました。
やっぱり、ものを売る世界は、すごくて・・・・
その題名は、「トーキョー野蛮人」だった。
あの ラ・ムーのEP 誰かに愛されていますように・・・。
♪