駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

二国の白い白い虹

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本名は 国道1号 と いうらしい

 

でも地元では「第2京浜国道」略して「二国(ニコク)」と呼んでいる

その道は多くの車が人を乗せて行き交う道

川崎と五反田を結ぶバスが本数も多く走り

わが大田区のどまんなかを切り取ってゆくキリトリ線のような道

二国は大事な

道なのです

 

 

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へたな絵で図解してみた・・・。

 

日差しは春の真っ盛り。

そのときわたしは用事で川崎にいた

行き帰りは河川敷をサイクリング

もしかしたらマスクの下で大声あげて歌っていたかもしれないが

仲間からLINEが来て

郵便で マスクを送ることになった

 

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川崎は神奈川県の都市

多摩川をはさんで向かいにあるその若草の大地は夢のような場所に思えた

東京都でないというだけで なにか 少しだけ安全そうな 街に思えた

 

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川沿いの道を走れば馬のにおいがした

ここは馬舎のよう

馬もSTAY HOMEしているのかしら

川のそばの馬の家

そんな自然の恵みに満ちた風景さえ 都内でなく川崎 安全のしるしのように思えた

 

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いつか 都民が神奈川県に入れなくなる日が来るのかもしれない

 

この 県境の多摩川大橋に 民間の警察官が立ち 都民は立ち入り禁止になる日が来るかもしれない

  

大田区内は大森郵便局で複数の職員が新型コロナウィルス感染

それにより

郵便網が止まっていると きいた

 

緑ゆたかで小さな工場の多い大田区が 何か 死のかおりに包まれる

少なくともひとつの血流が

郵便が 止まった

そんな区だから

 

遠くにこだまする救急車のサイレン

 

今日も誰かのお父さんが脳梗塞を起こしている

 

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大田区の郵便はかなり遅れているときいた

マスクをどこから投函しよう

 

川崎の今日の集荷はもう終わった頃だ

 

品川区なら18時15分の集荷に間に合う

 

そのことに気づき わざわざ東へ向かった

 

ぽつり

まだ日差しはあったのになぜか雨が降って来た

ウィルスまみれの細菌まみれの雨がマスクを濡らした

 

いやだといっても逃げ処はなく

ひとに逢うための行為も害悪で

不安感

恐怖感

警戒感

が 雫になって落ちてくる二国

それは いつの間にか止んでしまう気まぐれな雨

 

 

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住所でいえば池上あたり

何か魅力的なものが目の端っこにみえた

ふと見上げれば

それは西馬込でお客をおろしたあとの都営線の車両

働き終えた誇らしい姿の白がまぶしい

 

よく見ると乗務員が歩いている

 

鉄道員らしい黒い姿に 顔中マスクを まとって

 

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うっすら濡れながら自転車は二国の車道の隅を走った

 

ただ走りたかっただけかもしれない

STAY HOMEに飽きてしまって外に出たくなっただけかもしれない

サインカーブのようにひとはリズムを刻んで生きている

ものみたいにじっとしているわけではない

今日も誰かは腎不全で透析を受けているのだろう

詰まる=死

止まる=死

人も流れていなくては街が死んでしまうのだ・・・

だから・・・

などと理由を付けて

そうだ 何か理由をつけて逃げ出そうとしている

 

東京が怖くなってしまったんだ

この世界でいちばん怖くないところに行きたいんだ

白い橋を渡ってシロツメクサでいっぱいの平和な草原へゆけるものなら漕ぎ出したいんだ

でもそんな場所はもうどこにもないし

都民はどこも受け入れてもらえないらしいから

雨に濡れたマスクで二国を走る

 

そんなときに 白い虹を 見つけたのだ

 

いま 電車も自粛だから 見上げるしかないけれど

右の高架にみえる 仕事を終えた都営線は白い虹

どこからどこへ渡ってゆくのか

マスクの乗務員がその白いきざはしを歩いて行った

 

過去から未来へ現在を超えて

かつて 満員電車に乗って 通勤していたことがあった・・・

それほど昔ではない あの頃が思い出されます

 

都営線をみていると あの中だけは 平和で安全な場所なのではないかと思えてくるのです

閉じ込められたら こわい場所なのに

電車こそが いまはひとつの 希望だと

 

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二国をさらに五反田方面にゆけば 坂を登った果てにみえてくる馬込の陸橋

 

前々からこの立派な陸橋は何の線路だろうかと思っていたのです

 

あまり深く考えず

東急なのか

都営なのか

などと思っていたら

 

轟音とともに駆け抜けたものは

白い立派な超特急

そう 

新幹線の ガードだったのです

 

・・・気づいたら雨は上がっていた・・・

 

・・・・また 白い虹が かかった 大田区を通過してしまうけれど 爽快に・・・

 

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今日もけなげに走る「のぞみ」号

日本の大動脈として人を運び続けたその白い姿は

相変わらずの俊足ぶり

相変わらずのりりしさ

そして相変わらずの本数の多さで

こんな時になっても 日本じゅうを 走り続けている

 

ウィルスは人から人への感染なんですって・・・

だから 人をたくさん乗せることができない・・・

でもね 新幹線だけなら感染することはないから・・・

 

人を乗せない新幹線は 西へ東へ 

日本中の空に 白い虹を かけにゆく

 無人だろうと 何だろうと 走ることそのものが鉄道の命

 

そうです 大動脈が止まるときは 死ぬときだからね

 

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結局 マスクをポストしたのは 品川区中延

二国で大田区を抜けたばかりのところ

この場所からなら 少しは郵便も流れているだろうと 思うとき

頭に浮かぶのは「流れ」のイメージ

学術書でみた脳梗塞の回復ぶり、つまり患部そのものでなく周辺のニューロンがつながるさま、

ゲームのパックマンが迷路をかけて行くさま、けして行き止まらない黄色い横顔、

どこかで見た approachingという英語、I'm coming という英語、

腎不全のひとが「透析してるからいいや」と開き直って食べる美味しいゴハンのことや

冠状動脈が2本詰まって瀕死の状態であるときのCT像

郵便網という流れの止まったこの大田区

 

・・・流れて!

・・・あの 呑川よりも 強く 流れて!

 

乗客を乗せない白い虹がごうごうと空に橋を架ける

 

手を合わせてお願い事があるとすれば

郵便 生き返りますように

マスクがちゃんと届きますように

そして

新幹線という名のきざはしをわたって

いつか 平凡な 温泉旅行など出来る日が・・・

そんな日が どうか やってきますように

 

 

miyamatsuoka.bandcamp.com