駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮が描く東京の風景たち◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆

自販機のなかの駅員

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コン コン

出してください・・・

僕を 出してください・・・

自販機の中から 弱弱しい声がした

ふと自販機をのぞき込むと

埃だらけのプラスチックの板の向こうに

小さな駅員さんがいた

きっちりと冬服

制帽に 白い手袋して・・・

これは

ある東急の駅での出来事

 

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子どものような笑顔

電車ごっこなんかして

駅員 ずいぶん 楽しそうじゃないの・・・・?

わたしがそういうと

駅員は涙ぐみながら

これはカラ元気なのです

こんな小さな箱に閉じ込められてしまって

未来が見えなくて

子どものこころに戻るしかなかったのです

駅員はつぶやくと

革靴を履いたままおしっこをもらした

夏の終わりの駅員のしずくは

ビタミン補液のようにわたしのなかに浸透してきた

 

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だんだん わかってきた

ここは自販機という名の世界の

ジュース販売網という路線

各駅停車はキレイビタミン

急行電車はビタミン炭酸

駅員はここでひたすら販売しなくてはならない

ジュース補充のひとが来たら

お疲れさま!と敬礼しながら

重い扉がバタンと閉まれば

また ジュース販売の 電車ごっこを

始めないといけない

 

コン コン

出してください・・・

僕を 出してください・・・

自販機の中から 弱弱しい声がした

駅員のおしっこが空ら降ってきたような気がした

これは 買うしかないのか

夏の終わりの日差しがまだまだ厳しいうちに

冬服の駅員が見つめているうちに

 

雲がずいぶん高くなった空

駅員の声もだんだん

小さくなってきました

 

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