駅員観察日記(はてな編)

◆ポエトリーアーティスト松岡宮の日々の記録◆このブログはアクセスカウント以外のアクセス解析をいたしません◆LIVE予定、11/4大久保ひかりのうま、11/19難波「音」、11/27神楽坂カグラネ、12/7碑文谷APIA40◆

サラリーマンがでろでろと

オープンマイクゲストの ヤリタミサコさんの詩集を広げ

電車のシートに座ったわたしは 気持ちよく読んでいたのだが

混んだ電車

向かいにはサラリーマン

両手で吊り革を掴んで

左右に揺れている

酔っている

寝ている

それはもうほんとうに醜くだらしのない姿

ベルトははずれかけているし

口は締まりなく半分開いており

かろうじて締められたネクタイはよれよれしている

なにより体幹がふらふらふらふら

・・・ああ いやだなあ・・・

と思った予感は見事に的中し

新品の詩集に

ふいに しぶきが 飛び散った

「ぎゃあッ」

思わず 叫んでしまった

液体がわたしの手にもかかっている

なに これ・・・

かろうじて 下呂・・・ではないと 思うが

大量のよだれ?

なに この液体は・・・

サラリーマンが寝しなに吐き出したものが

わたしの手や詩集をびっしょり濡らしたのだ

そのサラリーマンも少しハンカチを探す仕草などしたのだが

ハンカチ 無かったみたいで

また吊り革を両手で握って

グリングリンと

寝たふりのよう・・・

わたしは実感した

サラリーマンは敵である

サラリーマンはこんなふうに酔っぱらってもいいと思っている

サラリーマンはよだれを他人にあずけてもいいと

甘えている

サラリーマンは吊り革を握りながらでろでろと溶けて

困ったことには寝たふりをする

自分の駅できちんと降りられるわりに

困ったことには寝たふりをする

でろでろ・・・

座席に座ったわたしに

サラリーマンがでろでろと溶けて覆いかぶさってくる

立っているひとがみんなでろでろと溶けて覆いかぶさってくる

息苦しいな 

息苦しいな

車掌さんどうか 引きはがしてください

お酒臭い夜の電車

みんなで窒息しあいましょうというゲームをしている酔っ払いで

この車両なら

いっぱいなのです

車掌さんどうか 見つけてください

乗客たちが液状化してゆくこの各駅停車で

生存者もいま泥の底に引きずり込まれて

でろでろ

してしまいそうなのです