駅員観察日記(はてな編)

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発光する車掌(改稿)

男性ならば人形が良い

白く柔らかい肌にりりしき制服をまとい

生きてない 生きてない

という

顔をして

つめたい ひとがいい

 わたしは人形を小脇にかかえて

 電気屋さんから帰る

 道すがら

 「・・・次は 新橋 新橋です」

と 滑り込む京浜東北線

ナイフで削ったような青年車掌が

きつめの手袋を引っ張っている

彼の脳波は まだ徐波だ

静かに楕円を描くルーチンにその身をあずけ

車掌のビートはまだ低音だ

夕暮れの東京

高架線から見える街路は

イルミネーション真っ盛り・・・

よっぱらいの千鳥足

ケンカ

カップル

ルミナリオ

押すな押すなと駆け込む乗客たち

 「・・・ドアが閉まります 駆け込み乗車は おやめください」

エッジにいま 足を踏み入れた

あくまでも冷徹な青年車掌が

   「あぶないですよ、駆け込み乗車はおやめください!」

ドアを閉じる

その瞬間・・・

 

  「・・・・ま、まぶしい!!」

 ああ

 今まさに列車のドアを閉めようとする車掌が

 まぶしい!

 しらじらと 発光している

 のが 見えた

 車掌の体はハロゲンランプのまばゆさとなり

 この街と調和する  

 まぶしい まぶしいよ 車掌・・・

 白熱灯の素肌が襟元にうかぶ 車掌

 ほのかにあがる体温を隠しきれないんだね 車掌

 そうだわ、車掌に電気が走ったのだ

 そうだわ、車掌とは自家発電する発光体なのだ

 ひとが電気を内包した生物であることに

 気づく

 わたしは抱えていた人形を強く握りしめながら

 手が汗をかくことに

 恥ずかしい思いをしている

 だけど実はそんなわたしも隠しきれない電気を点けてしまうわ

 さすがはJR東日本

 京浜東北線

 発光する人形たちで満たされるプラットホーム 

 ルミナリオ

 無駄なりや

 殴り合ったり壊しあったり

 綺麗だね まぶしいね

 師走が無駄に 輝いてゆくのよ